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カテゴリー: 基礎知識

後悔する前に知るべき借金の時効!消滅時効で押さえるべきポイントとは?

監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

借金に時効があるという話を聞いたことはないでしょうか? 何年も前の借金の支払いを請求されても、時効になっていれば払う必要はありません。 この記事では、借金の時効について分かりやすく説明します。時効については民法改正により変更された点もあるので注意しておきましょう!

借金は、最後の返済日から5年で時効になる。

時効の「完成猶予」があると時効期間の進行がストップし、時効が「更新」されると時効期間がリセットされ初めからカウントさる。

時効により返済義務を無くすには、時効の援用手続きをしなければならい。

当事務所では、『昔の借金の時効を主張したいが、どうすればいいのか分からない』といった方からのご相談をお受けしています!
借金の消滅時効の援用サポート

借金に時効はあるの?

借金の時効

まずは、消滅時効の制度について解説します!

借金も時効で消滅することはある

貸したお金を返してもらう権利のように、誰かにお金を払ってもらう権利を債権と言います。民法では、債権が一定の条件をみたすことで、時効により消滅すると明記されています。

借金をしても、長期間返済することなく放置していると、時効により借金の支払義務が消滅してしまうことがあります。

借金の時効期間は民法改正で5年に統一

最近まで、借金が時効になるまでの期間は、借入先によって違いがありました。知人など個人から借りる場合には10年、銀行や消費者金融から借りる場合には5年というのが従前のルールでした。

しかし、2020年4月に施行された改正民法により、債権の消滅時効は、借入先に関わらず、原則として5年に統一されました。具体的には、次のようになります。

債権の消滅時効
  • ① 債権者が、権利を行使することができることを知ったときから5年
  • ② 権利を行使することができるときから10年

お金の貸し借りの場合、貸した人は当然返してもらう権利があることを知っているので、通常は①の5年で時効になります。②については、お金を払ってもらう権利があることを知らなかった場合でも、10年経過すれば時効になるという意味です。

改正民法では、借金は借入先にかかわらず5年で時効になるということです。

時効はいつから計算するか

時効の起算点となる①の「債権者が権利を行使することができることを知ったとき」とは、通常は返済期日になります。

カードローンのように毎月支払う借金の場合には、最後の返済日です。返済期日を定めていない場合には、借入日から時効を計算します。

2020年3月以前の契約には改正前の民法を適用

改正後の民法が適用されるのは、改正法の施行日(2020年4月1日)以降にお金の貸し借りを行ったケースです。

改正前(2020年3月以前)に作った借金については、改正前のルールが適用されます。そのため、消費者金融やカード会社、銀行からの借り入れの場合は5年、個人や会社組織でない信用金庫等からの借り入れは10年で時効消滅します。時効の起算点は、貸主が権利を行使することができる時からとなります。

借金の時効は延びることがある

ストップ

借金が時効にならないケースも理解しておきましょう!

時効の「完成猶予」「更新」とは?

「時効の完成猶予」とは、時効完成前に、ある事由が発生した場合、時効期間の進行が一時的にストップ(停止)し、その期間中は時効が完成しないことをいいます。

また、「時効の更新」とは、時効完成前に、ある事由が発生した場合に、時効期間の進行がリセットされ、改めてゼロからカウントすることいいます。

時効の完成が猶予されると、時効の計算は一時ストップします。その後、時効の更新となれば、改めてゼロからカウントします。民法改正前には、「時効の停止」「時効の中断」と呼ばれていましたが、改正後は時効の完成猶予・更新という形に改められています。

つまり、借金について時効の更新があると、時効がリセットされるので、その時点から改めて5年の期間が経過しないと時効は完成しないということになります。

時効の完成猶予 時効時間のカウントが一時的にストップする。
時効の更新 時効期間がリセットされ、また初めからカウントさる。

どんなとき時効の完成が猶予・更新される?

時効完成が猶予される事由として、民法では次のようなものが定められています。
(1) 裁判上の請求

債権者が裁判を起こすと、裁判が終わるまでは時効の完成が猶予されます。裁判が終わって確定判決などで権利が確定すると、時効は更新されます。

(2) 支払督促

支払督促とは、簡易裁判所を通じて債務者に支払いを請求する手続きです。支払督促を申し立てると時効の完成が猶予され、手続きを経て権利が確定すると時効は更新されます。

(3) 和解・調停

簡易裁判所で行う訴え提起前の和解や民事調停・家事調停の申立てがあったときにも、時効の完成は猶予され、手続きが終わると時効は更新されます。

(4) 破産・再生・更生手続への参加

債務者が破産、民事再生、会社更生といった倒産手続きを行ったとき、債権者として参加した場合には時効の完成は猶予され、権利確定後に更新されます。

(5) 強制執行・担保権の実行・競売・財産開示手続等

債権者が強制執行等の手続きを行った場合には、時効の完成は猶予され、手続きが終わると時効が更新されます。

(6) 仮差押え・仮処分

債権者が仮差押えや仮処分の手続きを行った場合には、時効の完成は6か月間猶予されます。

(7) 催告

催告とは、裁判外で請求することで、一般には内容証明を送る方法です。催告を行った場合には、時効の完成が6か月間猶予されます。6か月以内に訴訟や支払督促の手続きをすれば、時効を更新できます。

(8) 協議を行う旨の合意

協議を行う旨の合意が書面でされた場合には、時効の完成が1年間猶予されます。

(9) 承認

債務者の承認があった場合には、時効が更新されます。たとえば、お金を借りている人が、貸している人に対して、借金の存在を認める行為をすると、時効はリセットされ再びゼロからカウントされます。

(10) 天災の場合

大きな地震など災害が起こると裁判などの手続きがとれません。このような場合にも時効完成は猶予されます。

当事務所では、『昔の借金の時効を主張したいが、どうすればいいのか分からない』といった方からのご相談をお受けしています!
借金の消滅時効の援用サポート

借金を時効にするには「時効の援用」が必要

内容証明郵便

借金を時効消滅させるためには、援用の手続きが必要です!

時効の援用とは?

時効の利益を受ける意思を表明することを「時効の援用」と言います。

時効の効果を生じさせるためには、時効が完成した事実だけでなく、時効の利益を受けるという意思表示が必要となります。

時効を援用する方法

時効を援用するには決まったやり方があるわけではなく、口頭で行うことも可能です。しかし、口頭では証拠が残らないので、内容証明郵便を債権者宛に送付するのが妥当な方法でしょう。

時効を援用してもブラックリストに事故情報が残る場合もある

貸金業者からの借金を長期間延滞すれば、信用情報機関に事故情報が登録され、ブラックリストに載ってしまいます。ブラックリストには5年程度情報が残りますから、その間は新規の借入が困難になってしまいます。

時効援用により借金の支払い義務が消滅すると、通常はブラックリストの登録も抹消されます。しかし、一部信用情報機関によっては、時効援用から5年程度は事故情報が残る場合もあるようです。

そのため、借金は時効消滅しても、当面の間はカードを作ったりローンを組んだりすることができない場合もあるので、注意が必要です。

実際に借金を時効にすることはできる?

自分の借金が時効になるのか、しっかり確認しましょう!

貸金業者の借金を踏み倒すのは難しい?

借金は5年で時効になると聞くと、「放置していれば必ず逃げ切れるのでは?」と考えるかもしれません。しかし、貸金業者からの借金が時効で消滅するケースは、それほど多くはないようです。

貸金業者であれば、時効が完成しないよう、必ず何らかの手段をとってくるはずです。たとえば、貸金業者に「少額でもいいから払ってください」と言われて1円でも払うと「承認」を行ったことになり、その時点で時効の計算はゼロに戻ります。

貸金業者からの支払いに応じなくても、訴訟を起こされたり支払督促を申し立てられたりすれば、時効は更新されます。返済しないまま何事もなく5年の時効期間が経過することは、それほど多くないケースと言えます。

まだ時効期間が経過していない場合には、早めに債務の額を減額する「債務整理」を検討するのも良いかもしれません。

時効完成後に承認すれば時効援用ができない

時効期間が経過していても、債務者が債務を承認した場合には、それ以降時効の援用はできないとされています(最高裁昭和41年4月20日判決)。債務者の承認があったことで、債権者は借金を当然返してもらえるものと信頼します。時効の援用はそれを裏切る行為なので、信義則に反する行為として許されないのです。

もし、長期間返済をしていない借金の返済を請求された場合には、借金の存在を認めるような発言等はせず、時効になってないかどうかを確認した方がよいでしょう。時効になっていれば、内容証明により時効援用の手続きをとるのが得策です。

時効を待っている間に借金は増える

借金

時効が成立すれば借金は消滅するとはいえ、それまでの間は延滞していることになりますので、利息や遅延損害金で借金はどんどん膨らんでしまいます。もし時効にならなかった場合には、当然ですが増えてしまった借金を全額支払わなければなりません。

早いうちに返済しておけばそれほどの額にならなかったものでも、時効を狙ったばかりに、大きな額の借金になってしまうこともあります。時効で借金の支払いを逃れようと考えることには、こうしたリスクが伴うことも知っておきましょう。

時効成立までの流れ

借金の時効が成立するまでの流れは、次のようになります!

時効期間の満了

貸金業者から借りた借金であれば、民法改正前(2020年3月以前)の契約でも5年で時効となります。返済期日または最後の返済日から5年が経過すれば、時効期間が満了したことになります。 なお、5年の間に貸金業者から訴訟や支払督促、仮差押等の手続きを取られている場合、こちらから債務を承認するような行為をしている場合などには時効になりません。6か月以内に内容証明郵便で支払いを請求する通知書が届いている場合でも、すぐには時効にならないので注意しておきましょう。

時効を援用する

内容証明郵便により、時効援用通知書を債権者宛に送ります。貸金業者から債権回収会社に借金が譲渡された旨の通知が届いている場合には、債権回収会社宛に時効援用通知書を送ることになります。時効援用通知書には、次のような情報を記載します。 〇対象となる借金を特定できる情報(契約日、契約番号、借入金額等) 〇時効期間が満了していること 〇時効を援用する意思表示 〇時効援用の日付 〇債務者の住所氏名

債権者が時効援用通知書を受け取る

内容証明郵便には通常、配達証明を付けるので、債権者の受領を確認できます。債権者が通知書を受け取ったら、時効援用の手続きは完了します。時効援用後に返済を求められても、返済する義務はありません。

時効のメリット・デメリット

時効のメリット・デメリットは、次のとおりです!

時効を援用するメリット

時効を成立させるいちばんのメリットは、借金の返済義務をなくすことができる点です。

上で説明したとおり、時効期間が満了していても、時効を援用しない限り、借金の返済義務はなくなりません。時効を援用すれば、貸金業者からの督促も止まります。

時効を援用するデメリット

貸金業者の借金について時効を援用した場合、その会社や関連会社からは、それ以降借金ができづらいというデメリットがあります。

なお、時効を援用したけれど、実際には時効が成立していなかった場合には、債権者に時効中断の手続きをとられて逆に時効が延びたり、多額の遅延損害金を請求されて借金が増えてしまったりするリスクがあります。

そのため、時効の援用をする際には、時効の計算を間違えないよう、弁護士や司法書士などの専門家に相談してから時効援用手続きをするのがおすすめです。

時効援用の費用と依頼先

弁護士・司法書士

時効援用を依頼できる専門家は、弁護士、司法書士、行政書士になります。 それぞれの専門家のできる業務の範囲や費用の相場は、以下の表のとおりです!
専門家 依頼できる業務 費用の相場(内容証明料金込み)
弁護士 債権者との交渉や裁判を含めて対応可能 1社につき4~5万円
司法書士 140万円以下の借金について、債権者との交渉や裁判を含めて対応可能(※法務大臣の認定を受けた認定司法書士のみ) 1社につき3~5万円
行政書士 債権者宛内容証明の作成のみ可能 1社につき1~3万円

借金の時効以外の解決方法

上記のとおり、時効の更新などで借金が時効消滅しない場合もあります。
借金が払えない場合には、時効以外の解決方法としては、次のようなものがあります。
おまとめローン

複数の会社から借金をして多重債務の状態になっていると、毎月の返済額も増えてしまい、支払いが困難になります。多重債務になっている場合、銀行等で用意されている「おまとめローン」と呼ばれる商品に借り換えすることで、毎月の返済額を減らせます。

おまとめローンを利用する場合には、まず、おまとめローンで借りたお金で各社の借金を完済します。その結果、借金はおまとめローンに一本化され、以降はおまとめローンの返済をすればよいだけになります。おまとめローンの金利は通常の消費者金融の金利よりも低金利になっており、返済額も毎月無理のない範囲に設定し直すことができます。

ただし、おまとめローンでは月々の返済額を減らせる分、返済期間が長くなってしまいます。トータルで支払う借金額は増えてしまうことがあるので、よく考えて利用しましょう。

債務整理

債務整理は、法律的な手続きを踏むことにより、借金を減額または免除してもらえる方法です。債務整理で主に用いられる方法には、任意整理、個人再生、自己破産があります。返せない借金は、時効になるまで待つよりも、できるだけ早い段階で債務整理を行う方が安心です。なお、債務整理の方法にはそれぞれメリット、デメリットがあるため、どの方法がよいかは十分検討して決めましょう。

債務整理のうち、比較的簡易迅速に手続きができるのが任意整理です。任意整理は貸金業者と直接交渉して借金の支払方法を変更してもらう方法になります。任意整理をすれば、将来利息をカットしたうえで毎月の返済額を減らせます。将来の利息は免除してもらえるので、返済期間が延びても借金自体が増えることはありません。過払い金が発生している場合には、過払い金を返済に充てることにより、借金を減らせます。

まとめ

借金は5年で時効になります。ただし、さまざまな理由で時効のカウントはリセットされるので、単に5年経過しただけでは借金はなくならないケースが少なくありません。

また、時効の成立要件を満たしている場合でも、時効援用の手続きをとらなければ、支払義務は消滅しないことになっています。貸金業者からの借金の場合、借金の時効が成立しているかどうかを業者に問い合わせても、結局時効を中断させられてしまうおそれがあります。

借金の時効の援用をご検討の場合には、早めに当事務所までご相談ください。

当事務所では、『昔の借金の時効を主張したいが、どうすればいいのか分からない』といった方からのご相談をお受けしています!
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速水 陶冶
(はやみず とうや)

東京司法書士会(登録番号 5341号)
※簡易裁判所代理権認定(認定番号 1001015号)

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