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任意整理できない3つのケースについて

監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

債務整理の中でも、任意整理は比較的簡単な方法です。任意整理は裁判所での手続きを要しないので、迅速に終わります。任意整理なら、家族や職場に内緒で手続きしやすいのもメリットです。

ただし、どんな場合でも任意整理ができるわけではありません。ここでは、任意整理できない3つのケースについて説明します。

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任意整理の要件に当てはまらないケース

任意整理を行いたい場合、基本的な要件があります。以下のような場合には、基本的な要件に該当せず、任意整理できない可能性が高くなります。

(1) 残った借金を返済する意思がない

任意整理は、債権者である貸金業者と直接交渉し、借金の返済条件を変更してもらう方法です。返済条件の変更について債権者と合意ができれば、和解契約を結び、それ以降は和解条件に従った支払いを行います。

任意整理をしても、借金はなくなりません。ただし、未払い利息、遅延利息(遅延損害金)及び将来利息については免除してもらえますので、借金の支払い総額は減らせます。

任意整理したい場合、大前提として、残った借金をきちんと返済する意思が必要です。借金を返す気がない場合には、任意整理できないということです。

(2) 3~5年での分割返済ができない

任意整理をするなら、残った借金の全額を3~5年で分割返済する必要があります。毎月返済できる金額が少なく、完済までにあまりに年数がかかってしまうようなら、任意整理できないことになります。

たとえば、残っている借金の元本が300万円の場合、5年で返済するには年間60万円を払う必要があります。つまり、毎月5万円を払わなければなりません。月5万円を払えない状態であれば、任意整理できないということです。

なお、消費者金融などの貸金業者と古くから契約している場合には、利息制限法の上限を超える金利が設定されていて、過払い金が発生しているケースがあります。

過払い金が発生している場合には、過払い金を残った借金の支払いに充当できるので、借金の残額を減らせます。残りの借金を5年以内で返済できない場合でも、過払い金が発生していれば、任意整理できる可能性があるということです。

(3) 安定・継続した収入がない

任意整理では毎月の借金の返済を続けなければなりません。そのため、債務者に支払い能力があることも前提条件となります。任意整理をするには、原則として、毎月継続して収入が入ってきていることが必要です。

安定・継続した収入がなければ、借金の返済を続けていくことは不可能でしょう。継続収入がない場合には、個人再生もできませんから、自己破産を考える必要があります。

(4) 借金の担保がある

任意整理できるのは、原則として無担保の借金です。不動産担保ローンなど担保が付いている借金の場合には、任意整理はできません。債権者は任意整理に応じなくても、担保から借金を回収できるからです。

なお、保証人が付いている借金を任意整理しても、保証人には効果は及びません。債権者は保証人に対しては通常どおりの請求ができるため、保証人も一緒に任意整理するなどの対応が必要です。

債権者が任意整理に応じないケース

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任意整理は、裁判所を通さず、債権者と債務者の話し合いによって支払方法を決め直す手続きです。債権者には任意整理に応じる義務はなく、和解するかどうかは債権者の自由です。以下のような場合には、債権者に応じてもらえず、任意整理できない可能性があります。

(1) 借りてからほとんど返済していない

借金をしたものの1回も返済していない場合や、数回しか返済しておらずほとんど借金が減っていない場合には、任意整理に応じてもらうのは困難です。

任意整理は、通常の返済ができなくなったときに、やむを得ず返済方法を変更してもらう手続きです。任意整理をする前に、通常の返済をした実績を作っておきましょう。

(2) 債務者が自分で交渉をしようとする

任意整理をするときには、裁判所を通すことなく、債権者である貸金業者に直接申し入れをすることになります。しかし、債務者個人で貸金業者に申し入れをしても、相手にしてもらえないのが通常です。

任意整理をするときには、最初に貸金業者に取引履歴の開示請求をします。債務者が自分で手続きした場合、取引履歴の開示請求をしても後回しにされ、すぐに送ってもらえないこともあります。

任意整理をするなら、最初から司法書士や弁護士に依頼した方が安心です。法律の専門家である司法書士や弁護士から申し入れがあった場合には、貸金業者も「誠実に対応しなければ法的手続きをとられてしまう」と考えるため、スピーディーな対応が期待できます。

(3) 延滞が長期間に及んでいる

任意整理をしたいなら、早い段階で手続きするにこしたことはありません。延滞する前に任意整理を申し出るのがいちばんです。

延滞をした後、貸金業者に連絡をせず、督促も無視し続けているような場合には、貸金業者の方も「この債務者は信用できない」と思っているでしょう。信用を失っていれば、任意整理で和解するのも困難です。

(4) 再度の任意整理である

過去に任意整理をして和解したけれど、やはり支払い困難になり、再度支払い方法の変更を申し入れたいということもあるでしょう。しかし、再度の任意整理には、なかなか応じてもらえません。

任意整理の和解契約でも、「分割金の支払いを怠った場合には一括返済する」という期限の利益喪失条項が入っているのが通常です。

任意整理後に延滞をした場合、再度の任意整理は困難なだけでなく、遅延損害金も請求されてしまう可能性がありますから、注意しておきましょう。

弁護士などの専門家に任意整理を断られるケース

任意整理は、通常、弁護士などの専門家に依頼します。専門家に依頼すれば必ず任意整理をしてもらえるとは限りません。以下のような場合には、任意整理できないことがあります。

(1) 着手金が払えない

司法書士や弁護士に任意整理を依頼するときには、着手金を払う必要があります。約束どおりの着手金を払わない限り、専門家に任意整理の手続きをしてもらうことはできません。任意整理をするなら、着手金を用意しておきましょう。

どうしても着手金が払えない場合には、法テラスに立て替えてもらう方法があります。法テラスに任意整理の費用を立て替えてもらう場合、着手金の額は決まっています。

たとえば、債権者(貸金業者)が1社の場合3万2,400円、2社の場合には4万8,600円となります。任意整理の場合には、成功報酬はかかりませんから、着手金と実費を立て替えてもらい、法テラスに月5,000円~1万円程度の分割返済をしていくことになります。

(2) 連絡がとれない

任意整理を司法書士や弁護士に依頼した場合、債権者との交渉は代理人として司法書士や弁護士が行います。もし司法書士や弁護士からの連絡をスムーズに受けられなければ、手続きに支障が出るため、任意整理を断られる可能性があります。

たとえば、住所が定まっていなかったり、電話もなかなかつながらなかったりすれば、連絡をとるのが困難です。任意整理をするなら、連絡があったときにきちんと応じられる状態にしておきましょう。

まとめ

任意整理できないケースに該当する場合でも、債務整理をあきらめる必要はありません。状況によっては任意整理が可能な場合もありますし、他の債務整理方法で借金問題が解決することもあります。

借金の支払いができなくなって困ったら、一人で悩まず、専門家に相談して解決方法を見つけるようにしましょう。

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速水 陶冶
(はやみず とうや)

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※簡易裁判所代理権認定(認定番号 1001015号)

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