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登記原因証明情報とは。添付書類ってなにがいるの?

監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

不動産登記の申請に必要な添付書類の中に、「登記原因証明情報」があります。登記原因証明情報とはいったい何のことなのか、どんなものを用意しなければならないのかについて説明します。

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登記申請の際には「登記原因証明情報」が必要

 

登記原因証明情報とは、不動産の権利に関する登記の申請手続きをする際に必要になる添付書類の1つです。

不動産登記法第61条には、「権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。」

と定められています。つまり、登記申請をするときには、登記原因証明情報を添付しなければならないのが原則ということです。

「登記原因証明情報」の意味

登記原因とは、「登記の原因となる事実又は法律行為」(不動産登記法第5条2項)です。不動産の登記というのは、何の原因もなく自由にできるわけではなく、必ず原因があって行うものになります。また、不動産登記は書面主義と言って、登記官は提出された書面のみから審査を行います。

こうしたことから、登記申請の際には、登記原因が何なのかが登記官にわかるよう、申請書に登記原因を証する書面を添付する必要があるのです。

「登記原因証書」が「登記原因証明情報」に

以前は登記申請の際には、「登記原因証書」として売買契約書や売渡証書などの書面をそのまま申請書に添付していました。

登記原因証書は法務局に保管されることはなく、登記が完了すると登記官が登記原因証書に「登記済」の印を押してこれを新たな権利者に還付し、「登記済証(権利証)」としていました。

また、登記原因証書が添付できない場合には、申請書副本を添付し、これを登記済証にしていました。つまり、登記原因証書というのは、実質的には登記済証を作るために添付されるものだったのです。

2004年の不動産登記法改正(2005年から施行)により、従来の登記原因証書や申請書副本の制度は廃止され、「登記原因証明情報」という形で登記原因を証する書面を申請書に添付するようになりました。

「登記原因証明情報」は登記済証として還付されるのではなく、法務局に保管されることになり、利害関係人はこれを閲覧することもできます。

登記原因や登記申請の真実性を担保し、取引の安全と円滑に役立てるため、「登記原因証明情報」の制度が作られたのです

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登記原因証明情報の作成方法

どんなものが「登記原因証明情報」になる?

登記原因証明情報は、登記原因となった事実または法律行為とこれにもとづき権利変動が生じたことを証明できるものでなければなりません。売買にもとづく所有権移転のように共同申請する登記では、登記原因について記載された内容を登記義務者(登記によって不利益を受ける側)が確認して署名押印したもので良いとされています。

登記原因証明情報としては、従来の登記原因証書と同様、売買契約書などを提出することも可能になっています。

また、売買契約書のコピーに、売主が署名押印した形のものでも良いとされています。

報告形式の登記原因証明情報とは?

登記原因証明情報として、売買契約書などをそのまま添付してしまうと、それが閲覧に供されることにもなり、売買代金や特約など契約書に書かれている事項がすべて公開されてしまうことになってしまいます。また、口頭による契約などの場合には、そもそも契約書がないということもあります。登記原因証明情報としては、登記原因となった法律行為などを記載した報告形式の書面を別途作って提出してもかまわないことになっています。

報告形式の登記原因証明情報なら、必要事項のみを記載することができますから、余計な内容が公開されてしまうことも防止できます。

登記原因証明情報の様式

売買による所有権移転登記の場合、報告形式の登記原因証明情報を作成するときには、以下のような内容を記載することになります。

  1. 登記申請情報の要項

 

(1) 登記の目的

「登記の目的 所有権移転」と書きます。

 

(2) 登記の原因

「登記の原因 ○年○月○日売買」と書きます。

 

(3) 当事者

権利者(買主)、義務者(売主)双方の氏名を書きます。

「権利者(甲)○○○○、義務者(乙)○○○○」といった形になります。

(4) 不動産

登記事項証明書(登記簿謄本)等を見ながら、不動産の表示を正確に記載します。

  1. 登記の原因となる事実又は法律行為

いつ売買契約が締結されたかを記載し、所有権移転時期について特約がある場合にはそれについても記載します。さらに、実際に権利変動が生じたことを証明する情報も書きます。

具体的には、以下のような記載になります。

(1) 甲と乙とは、○年○月○日、上記不動産の売買契約を締結した。

(2) (1)の売買契約には、本件不動産の所有権は、甲が売買代金を支払い乙がこれを受領したときに甲に移転する旨の特約が付されている。

(3) 甲は○年○月○日乙に売買代金全額を支払い、乙はこれを受領した。

(4) よって、本件不動産の所有権は、同日、乙から甲に移転した。

 

  1. 日付・提出先

登記申請書の提出日を記載し、「○○法務局(○○支局、○○出張所)御中」と書きます。

  1. 当事者の署名・押印

「上記の登記原因のとおり相違ありません。」と記載し、甲、乙それぞれの住所・氏名を記載し、押印します。

まとめ

登記申請をする際には、登記原因証明情報として、報告形式の書面を作成して提出するケースが一般的です。

登記原因証明情報の書式や文例は、インターネットで探せば見つかりますから、こうしたものを利用して作成する方法もあります。

なお、登記申請を司法書士にご依頼いただく場合には、司法書士の方で登記原因証明情報を作成しますので、ご自身で用意していただく必要はありません。

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速水 陶冶
(はやみず とうや)

東京司法書士会(登録番号 5341号)
※簡易裁判所代理権認定(認定番号 1001015号)

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