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相続の際、土地の評価ってどうなるの?

監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

亡くなった人の財産を相続した場合には、相続財産の額を基準にして相続税がかかります。相続財産の中に不動産がある場合には、相続税を計算するために、不動産の価格を決めなければなりません。ここでは、相続の際、土地などの不動産をどのように評価するのかについて説明しています。

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土地には何通りもの価格がある

土地の評価

土地というのは個別性が非常に強いものですから、客観的な価格を判定するのが困難です。そのため、土地については「一物四価」あるいは「一物五価」と呼ばれるように、同じ土地でも評価方法の違いにより、様々な金額がついています。

土地の価格の1つには、実際に取引されるときの「実勢価格」があります。その他に、国土交通省が毎年発表する「公示価格」や都道府県知事が発表する「基準値標準価格」、市区町村が算定する「固定資産評価額」、国税庁の評価に基づく「路線価」といった価格があります。

土地の価格のうち、相続税の計算をするときに使われるのは、路線価または固定資産評価額になります。

土地を含めた遺産総額が、基礎控除額を超えそうな場合には、相続税が発生する場合がありますので、事前に確認しておきましょう。

相続税を計算する基準となる土地の価格

路線価がある土地は「路線価方式」で評価

路線価とは、道路に面する宅地について、1平方メートルあたりの値段をつけたものです。市街地については路線価が設定されていますから、路線価をもとに土地の価格を算出します。路線価は国税庁が公表している路線価図から確認できます。

なお、路線価だけからは土地の価格を適切に評価できませんので、その土地の奥行距離や、角地になっているかなどによって補正がされることになります。このようにして算出された路線価をもとに相続税を計算する方法を「路線価方式」と言います。

路線価がない土地は「倍率方式」で評価

路線価のつけられていない土地については、「倍率方式」という方法で評価します。倍率方式とは、固定資産評価額に、国税庁が定めた一定の倍率をかけて計算した金額により宅地を評価する方法です。

固定資産評価額は、固定資産税等を課税する際の基準になっている価格で、3年に1回改定されます。固定資産評価額は、役所や都道府県税事務所で固定資産評価台帳を見るか、当該土地について固定資産評価証明書を取得することにより確認できます。なお、評価倍率については、国税庁のホームページで確認できます。

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土地を他人に貸している場合の評価

賃貸契約

亡くなった人が、自分の土地を他人に貸していた場合には、その土地に借地権が発生しています。そのため、土地の評価額から借地権の評価額を差し引きした額を基準として相続税を計算します。

借地権の評価額

借地権の評価額は、自用地としての評価額に一定の借地権割合をかけたものになります。借地権割合というのは地域によって異なっており、路線価図・倍率表で確認できます。

すなわち、

「借地権評価額=自用地評価額×借地権割合」

ということになります。

なお、土地を借りている人が亡くなった場合にも、借地権は相続されますから、上記の計算で借地権を評価します。

貸宅地の評価額

借地権評価額が出れば、貸宅地の評価額を計算できます。貸宅地評価額は、次の計算式になります。

「貸宅地の評価額=自用地評価額-借地権評価額=自用地評価額×(1-借地権割合)」

自宅の土地の評価には減額がある

相続財産のうち主なものが自宅である場合、自宅の敷地の評価額が高額なため多額の相続税がかかることになれば、納税のために自宅を売却しなければならないことにもなってしまいます。こうした事態を防ぐため、自宅や事業用店舗の敷地として使われている土地については、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」として、評価額が減額される扱いになっています。

たとえば、自宅の敷地を配偶者や同居の子どもが相続により取得した場合には、330平方メートルを限度として評価額が80%減額になりますから、基準となる価格の20%の評価ということになります。

相続税を計算する際に基準となる建物の価格

建物の評価

自己の居住用家屋や事業用店舗として利用している建物(自用家屋)については、固定資産評価額を基準に相続税を計算します。固定資産評価額にかける倍率は1.0となっていますから、固定資産評価額そのままで評価することになります。

建物を賃貸している場合の評価

亡くなった人が建物を他人に賃貸していた場合には、その建物に借家権が発生しています。そのため、建物の相続税を計算する際には、自用家屋の評価額から借家権の評価額を差し引いた額が基準になります。

借家権の評価額

借家権自体は通常は相続の対象とはなりませんが、貸家を評価するために、自用家屋評価額に借家権割合をかけたものを借家権評価額として算出します。

つまり、

「借家権評価額=自用家屋評価額×借家権割合」

ということになります。

貸家の評価額

貸家の評価額は、次のとおりです。

「貸家の評価額=自用家屋評価額-借家権評価額=自用家屋評価額×(1-借家権割合)」

なお、借家権割合は一部を除き30%となっていますから、貸家の評価額は通常は自用家屋評価額(固定資産評価額)の70%になります。

相続した建物が賃貸アパートの場合

賃貸アパートの場合、満室であれば上記の貸家の評価額のとおりになります。しかし、空室がある場合には、空室については借家権が発生していないと考えるため、上記の借家権割合にさらに賃貸割合をかけたものを差し引くことになります。

つまり、

「自用家屋評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)」

ということになります。

まとめ

相続手続きの際には、土地などの不動産を適切に評価しなければ、相続税の計算を誤ってしまいます。上記は原則的な評価方法になりますが、例外もあります。また、農地や山林などは、宅地とは評価方法が異なります。

相続税には相続開始から10ヶ月という納税の期限がありますから、相続財産の額は迅速に評価する必要があります。相続の際の土地等の評価については、できるだけお早めに専門家にご相談ください。

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速水 陶冶
(はやみず とうや)

東京司法書士会(登録番号 5341号)
※簡易裁判所代理権認定(認定番号 1001015号)

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