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相続した不動産を「売却」するなら必須!相続登記の基本と手続きをしないことのリスク

監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

相続の際、不動産を取得したら相続登記という名義変更の手続きが必要です。特に、将来的にその不動産を売却したり、資産として活用したりする予定がある場合、この登記手続きは避けて通れません。
この記事では、相続登記の重要性、手続きを放置するデメリット、そして相続した不動産をスムーズに売却するための注意点を解説します。

登記は必須!:不動産を売る、担保に入れるには、まず相続登記(名義変更)が完了していることが必須条件です。

登記は期限あり:相続登記には3年以内という期限が設けられました。期限を過ぎると過料が科される可能性があります。

放置はリスクだらけ:登記を怠ると、次の相続が発生する等により、将来的に売却が困難になる可能性があります。

売却のベストタイミング:相続開始から3年10ヶ月以内に売却すると、譲渡所得税の特例が適用できる可能性があり、税金面で大きなメリットを得られます。

当事務所では、『相続登記をどう進めたらいいのか分からない!』といった相続人からのご相談をお受けしています!
相続登記代行

相続登記とは? なぜ不動産の名義変更が必要か

まずは相続登記について解説します。

相続登記は不動産の「名義変更」手続き

相続登記とは、亡くなった人(被相続人)から相続人へ、不動産の所有権が移ったことを法務局の登記簿に記録する手続きです。

これにより、登記簿上の所有者の名義が正式に相続人に変更されます。この手続きは、法律上「所有権移転登記」と呼ばれ、相続を原因とする名義変更を指します。

登記をしないと「自分のもの」だと主張できない

不動産を所有していても、登記がなければ、あなたの所有権を第三者(他の相続人、取引相手、債権者など)に対して主張(対抗)できません。具体的には、以下のようなリスクがあります。

売却や担保設定ができない

不動産を売る、賃貸に出す、あるいは借金の担保にするなどの資産活用や取引は、登記上の所有者でなければ不可能です。

トラブル回避

登記をしないと、あなた以外の誰かに勝手に不動産の権利を主張されたり、別の登記をされたりするリスクが発生します。

相続登記に「期限」はある? 手続きを急ぐべき理由

相続登記の期限について解説します。

相続登記は「期限」が設けられ、手続きの必要性が増した

かつて、相続登記に法的な義務はありませんでしたが、所有者不明土地の解消のため、現在は不動産を相続した相続人に対し、手続きの期限が設けられています。

不動産の権利を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があり、手続きを怠ると過料が科される可能性があります。

これにより、相続登記は「やらないと損をする」から「やらなければならない」手続きへと変わり、迅速な対応の重要性が一層高まりました。

遺産分割協議と登記のタイミング

相続登記を行うためには、通常、遺産分割協議を行い、不動産を誰が取得するかを確定させる必要があります。

遺産分割には法的な期限はありませんが、協議がまとまらないと正式な相続登記ができず、売却などの資産活用も滞ってしまうため、できる限り早く話し合いを終えることが重要です。

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相続登記代行

相続登記を「放置」する深刻なデメリット

期限が設けられた今、相続登記を後回しにすると、以下のような深刻な問題が発生し、手続きの負担や費用が何倍にも増大する可能性があります。

⑴ 次の相続が発生し、権利関係が複雑化

遺産分割や相続登記をしない間に、相続人の誰かが亡くなってしまう(数次相続)と、亡くなった相続人のさらにその相続人も含めて、遺産分割協議を行わなければなりません。

関係者が増えるほど、手続きは複雑化し、全員の合意を得るのが難しくなり、親族間での争いに発展するリスクが高まります。

⑵ 相続人の判断能力低下

相続人が高齢になると、認知症などにより判断能力が低下してしまうリスクがあります。判断能力が不十分になると、遺産分割協議に本人が参加できず、成年後見人を選任する手続きが別途必要になります。

後見人選任には時間と費用がかかり、相続登記の大きな障害となります。

⑶ 売却したい時にすぐに手続きが進まない

急に資金が必要になったり、不動産を手放したくなったりした場合、相続登記が完了していなければ売却手続きに着手できません。

売買契約を結ぶ前に、複雑化している権利関係を解消し、自分名義に登記し直す必要があり、売却のタイミングを逃してしまうことになりかねません。

相続した不動産を「売却」する際の重要なポイント

売却する際のポイントを解説します。

⑴ 不動産売却は相続登記が前提

相続した不動産を売却する場合、必ずまず相続登記を行い、自分名義に変更する必要があります。

「買い手が見つかったら登記しよう」と考えていると、買主との契約締結や決済の準備に間に合わず、取引をスムーズに進められなくなる可能性があるため、売却の予定があるなら先に相続登記を済ませておくのが鉄則です。

⑵ 譲渡所得税の特例は「3年10ヶ月以内」が有利

相続した不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税が課税されます。この税金を節約できる特例として「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」があります。

この特例を利用すると、支払った相続税の一部を不動産の取得費に加算でき、その分、売却益(譲渡所得)を減らして税金を抑えることができます。

この特例の適用期限は、相続税の申告期限(10ヶ月)の翌日から3年以内、すなわち相続開始から3年10ヶ月以内に売却を完了させる必要があります。売却時期を検討する際は、この特例の適用期間を意識すると良いでしょう。

まとめ

相続登記は、相続した不動産をあなたの資産として守り、将来的に売却や活用をスムーズに行うための土台となる重要な手続きです。

現在は期限が設けられており、手続きを放置すると、次の相続発生などで状況がどんどん複雑になり、結果として多大な時間や費用がかかることになります。不動産を相続した際は、保有する場合も売却する場合も、できるだけ速やかに司法書士などの専門家に相談し、相続登記を完了させましょう。

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代表プロフィール

速水 陶冶
(はやみず とうや)

東京司法書士会(登録番号 5341号)
※簡易裁判所代理権認定(認定番号 1001015号)

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