【司法書士が解説】相続財産の分け方・遺産分割の方法4選|揉めやすい不動産の対処法
※本記事は更新日現在の法令・実務に基づき内容を確認済です。

執筆
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。自身の経験から、相続や借金に関する問題の困難さとその解決の重要性を深く理解しており、依頼者の不安に寄り添った丁寧なサポートを信条としている。
東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。自身の経験から、相続や借金に関する問題の困難さとその解決の重要性を深く理解しており、依頼者の不安に寄り添った丁寧なサポートを信条としている。

遺産分割は必須:遺言がない場合、相続財産は自動で分割されません。相続人全員の同意による「遺産分割協議」が必須。
分け方は4種類:現物分割、代償分割、換価分割、共有の4種類があります。不動産など公平に分けにくい財産は「代償分割」や「換価分割」を検討しましょう。
共有は避けるべき:共有名義にすると、将来の売却や活用に際して全員の同意が必要となり、大きなトラブルの元になります。できる限り避けましょう。
相続人同士で揉めないための相続財産の分け方

遺言がないとき、財産は誰のものになる?
身近な人が亡くなると、故人が残した財産を引き継ぐための「相続手続き」が必要になります。この手続きにおいて、何よりも優先されるのは亡くなった方の意思である「遺言」です。もし遺言書が残されていれば、基本的にはその内容に従ってスムーズに財産を分けていくことになります。
一方で、遺言がない場合には、残された相続人たちで財産の行方を決めなければなりません。相続人が一人のみであれば迷うことはありませんが、複数の相続人がいる場合は少し複雑です。誰がどの財産をどれだけ受け取るかという「正解のない問い」に向き合う必要があり、これが相続における悩みや争いの出発点となってしまうのです。
法律の割合だけでは決まらない?「遺産分割協議」が必要な理由
民法には、各相続人が引き継ぐ財産の目安として「法定相続分」という割合が定められています。原則としてはこの割合を基準に財産を分けることになりますが、注意が必要なのは、亡くなった瞬間に財産が自動で切り分けられるわけではないという点です。
実は、相続が始まった時点では、すべての財産が相続人全員の「ひとまとめの共有物」という不安定な状態にあります。この「ひとまとめ」の状態を解消し、具体的にどの不動産や預貯金を誰が自分のものにするかを確定させるためには、相続人全員による話し合いである「遺産分割協議」がどうしても必要になるのです。
全員の同意が不可欠!話し合いを形にする「遺産分割協議書」
遺産分割において最も大切なルールは、相続人「全員」が納得して合意することです。一部の人たちだけで勝手に決めることは法律上認められず、たとえ一人でも話し合いから外れてしまうとその合意は無効になってしまいます。
この全員での話し合いを「遺産分割協議」と呼びますが、口約束だけで終わらせてはいけません。合意した内容を証明するために、相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添えた「遺産分割協議書」を作成します。この書類があって初めて、不動産の名義変更(相続登記)や銀行口座の解約といった、具体的な相続手続きを正式に進められるようになるのです。
不動産がトラブルの元?「分けにくい財産」を円満に分けるコツ
遺産分割には「法定相続分」という明確な基準があるのに、なぜ話し合いが難航してしまうのでしょうか。その最大の理由は、財産の中には「きれいに切り分けるのが難しいもの」があるからです。
その代表例が不動産です。預貯金であれば1円単位で数字通りに分けられますが、土地や建物は物理的に切り分けるわけにはいきません。この「公平に分けたいけれど、現実的に分けられない」という性質が、親族間での衝突を生む大きなきっかけとなってしまいます。
トラブルを未然に防ぎ、大切な家族の絆を守るためには、こうした分けにくい財産をどう扱うかという「賢い選択肢」を知っておくことが欠かせません。ここからは、相続を円満に進めるために知っておきたい、具体的な4つの分け方とそれぞれのメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
状況に合わせて選ぶ!遺産を分ける「4つの選択肢」

遺産の分け方には、大きく分けて4つの手法があります。どの方法がベストかは、ご家族の状況や財産の種類によって異なりますし、これらを組み合わせて柔軟に解決を図ることも可能です。
| ① 現物分割 | 相続財産を現物のまま分ける方法 |
|---|---|
| ② 代償分割 | 相続財産を現物のまま相続した相続人が、他の相続人に対して代償金を支払う方法 |
| ③ 換価分割 | 相続財産を売却して、その売却代金を分ける方法 |
| ④ 共有 | 共有で相続する方法 |
① 現物分割:財産を「そのままの形」で引き継ぐ
現物分割とは、不動産は妻、株は長男、預金は次男というように、財産をそのままの形で各相続人に割り振る、最もスタンダードな方法です。
例えば、合計4,000万円の遺産を、法定相続分(妻1/2、長男1/4、次男1/4)で分ける場合、以下のような形が理想的な現物分割です。
【例】4,000万円の遺産を現物分割する場合
| 相続人 | 法定相続分 | もらう財産(現物) | 評価額の合計 |
|---|---|---|---|
| 妻 | 2,000万円 (1/2) | 不動産 | 2,000万円 |
| 長男 | 1,000万円 (1/4) | 株式 | 1,000万円 |
| 次男 | 1,000万円 (1/4) | 預貯金 | 1,000万円 |
この方法は、手続きが非常にシンプルで分かりやすいのが最大のメリットです。財産を売る必要もないため、スムーズに話がまとまれば、まずはこの方法を優先するのが良いでしょう。
しかし現実には、このようにパズルのようにぴったり分かれるケースは多くありません。「自分も不動産が欲しい」「預金の方が使い勝手が良くていい」といった希望が重なると、この方法だけでは解決が難しくなります。
② 代償分割:特定の人が財産を継ぎ、お金で「差額」を埋める
代償分割とは、特定の相続人が不動産などの現物を引き継ぐ代わりに、他の相続人へ「代償金(見返りのお金)」を支払ってバランスを取る方法です。
例えば、4,000万円の価値がある実家のみを、家族3人で分けるケースを見てみましょう。
【例】実家(4,000万円)を妻が引き継ぐ場合
| 相続人 | 法定相続分 | 相続するもの | 代償金のやり取り | 最終的な取得額 |
|---|---|---|---|---|
| 妻 | 2,000万円 (1/2) | 実家(4,000万円) | 子2人に計2,000万円払う | 2,000万円 |
| 長男 | 1,000万円 (1/4) | なし | 妻から1,000万円もらう | 1,000万円 |
| 次男 | 1,000万円 (1/4) | なし | 妻から1,000万円もらう | 1,000万円 |
この方法は、「今の自宅にそのまま住み続けたい」という希望を叶えつつ、他の相続人にも公平に財産を分けられるのが大きなメリットです。
一方で、注意点もあります。まず、財産を引き継ぐ人に、他の相続人へ支払うための「まとまった現金」が必要になる点です。一括払いが難しい場合、分割払いという選択肢もありますが、受け取る側が将来の未払いを不安に感じて反対するケースも少なくありません。
また、「そもそもこの家はいくらの価値があるのか?」という評価額の決め方でも揉めがちです。不動産の査定額には幅があるため、公平な金額を算出するには専門的な判断が欠かせません。
③ 換価分割:財産をすべて「現金」に変えてから分ける
換価分割とは、不動産などの財産を一度売却して現金化し、そのお金を相続人で分ける方法です。例えば、不動産を売却して、諸経費を差し引いた手元資金が4,000万円になったケースを見てみましょう。
【例】不動産を売って4,000万円を手に入れた場合
| 相続人 | 法定相続分 | 受け取る金額 |
|---|---|---|
| 妻 | 1/2 | 2,000万円 |
| 長男 | 1/4 | 1,000万円 |
| 長女 | 1/4 | 1,000万円 |
この方法の最大のメリットは、1円単位できっちり分けられるため、「誰がどの財産をもらうか」という不公平感が生まれない点です。実家を引き継ぐ予定の人がおらず、相続人全員が「物より現金」を希望している場合には、最もスムーズな解決策となります。
ただし、デメリットも理解しておかなければなりません。まず、不動産業者への仲介手数料などの「売却コスト」がかかるため、手元に残る金額が目減りしてしまいます。
また、売却によって利益が出た場合には「譲渡所得税」などの税金が発生します。同居の有無などによって相続人ごとに税金の優遇措置が異なるケースもあり、税金の負担割合を巡って新たな火種になることもあるため、事前の慎重なシミュレーションが必要です。
④ 共有:財産を分けず「みんなの名義」にする
共有とは、財産を特定の誰かのものにせず、相続人全員で持ち合う方法です。不動産の場合、話し合いがまとまっていなくても、法律で決まった割合(法定相続分)の通りに全員の名前で名義変更(相続登記)をすることができます。
一見すると「みんな平等」で波風が立たない解決策のように思えますが、実は将来的に最もトラブルが起きやすい方法でもあります。
- 活用が自由にできない:その家を「貸し出す」にも「売却する」にも、名義人全員の同意が必要になります。一人でも反対すれば、何もできない「塩漬け不動産」になってしまいます。
- 持分だけでは売れない:理論上、自分の持ち分だけを売ることは可能ですが、見ず知らずの人と共有になるような不動産の権利を買い取ってくれる人は、まず現れません。
- 次の世代でさらに複雑化:数十年後、共有者の誰かが亡くなると、その子供たちが新たな名義人となり、共有者がどんどん増えていきます。こうなると、親族同士でも連絡がつかなくなり、解決はほぼ不可能になります。
目先の争いを避けるために共有という形を選びたくなることもありますが、大切な資産を負の遺産にしないためにも、「共有はできるだけ避ける」のが相続の鉄則です。
相続方法が決まらない時は?解決へのステップ

揉め事が深刻化した場合は「家庭裁判所」へ
話し合いがどうしてもまとまらない場合、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることになります。調停委員を交えても決着がつかない場合は「審判」へと移行し、裁判所が最終的な分け方を決定します。
まずは専門家に相談し「家族の負担」を減らす
裁判所の手続きは数年かかることもあり、家族の仲を決定的に壊してしまうリスクがあります。
- 納得感のある提案:専門家なら、全員が納得しやすい「第3の案」を提示できます。
- スムーズな手続き:正確な「遺産分割協議書」を作成し、将来の紛争を防ぎます。
まとめ
遺産分割は、単に財産を分ける作業ではなく、残された家族がこれからも安心して過ごすための再出発の儀式です。
- 遺言がない場合は、相続人全員での「遺産分割協議」が必須。
- 不動産などの分けにくい財産は、「代償分割」や「換価分割」も選択肢の一つ。
- 「共有」は将来のトラブルの元になるため、極力避ける。
相続の問題は、一人で抱え込むほど複雑になり、時間もかかってしまいます。不動産の評価が難しい、親族間で意見がまとまらないといった時は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。
私のこれまでの経験を活かし、皆様の不安に寄り添いながら、最適な解決策を一緒に見つけていくことをお約束します。
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