登記事項証明書とは。ホチキスを外せないくらいにシビアってホント！？

登記事項証明書とは、登記簿謄本の現在の正式な呼び名です。

登記事項証明書は、単に不動産の内容を記載しただけの書面ではありません。

ここでは、登記事項証明書とはどんな役割を果たす書面なのかについて説明します。

不動産登記制度と登記簿

不動産登記制度の目的

土地や建物といった不動産は財産的価値のあるものです。

その為、不動産の売買などを行う際には、その不動産が誰のもので、どういう権利が付いているのかなどの詳しい情報がわからなければ、安心して取引ができません。

不動産取引の安全と円滑を図るために、不動産には登記制度が設けられています。

不動産登記制度では、それぞれの不動産について、物理的現況（所在、面積など）と権利関係（所有権、抵当権など）を登記簿に記載します。

登記簿は登記所（法務局）に備え付けられており、誰でも登記簿を見れば、その不動産の情報を知ることができるようになっています。

登記簿はコンピュータ化されている

登記簿は法務局にありますので、以前はその不動産を管轄する法務局に行けば簿冊になっいる登記簿を閲覧することができました。

しかし、現在では登記簿はコンピュータ化されてデータの形式になっているので、帳簿をめくるようにして登記簿を閲覧することはできません。

ちなみに、データ形式のものは正式には登記簿ではなく、「登記記録」という名前になっています。

コンピュータ化により、閲覧の代わりに、登記記録のうち現在効力のある事項のみを「登記事項要約書」として書面にプリントアウトしてもらえるようになりました。

法務局に行って登記事項要約書を請求すれば、不動産の内容について確認することができます。

なお、登記事項要約書は管轄の法務局で請求しなければならず、郵送やオンラインによる請求もできません。

「登記事項証明書」とはどんな書面？

「登記事項証明書」は「登記簿謄本」のこと

「登記簿謄本」とは、それぞれの不動産について登記簿に記載されている内容を書面に印刷し、登記官が「この内容に間違いがない」という認証を付けたものです。

法務局で登記簿謄本を取得すれば、登記簿を閲覧するまでもなく、目的の不動産の内容を確認できます。

登記簿謄本を取得すれば、誰もがその不動産の内容を知ることができますから、不動産取引の際にも登記簿謄本が活用されています。

登記簿謄本は、登記簿のコンピュータ化により「登記事項証明書」という名前に変わりました。

しかし、現在でも登記簿謄本と呼ばれることは多くなっています。

つまり、登記事項証明書と登記簿謄本は同じものということです。

登記事項証明書は、管轄に関係なく、どこの法務局でも請求できます。また、郵送やオンラインによる請求も可能です。

「登記事項証明書」には証明力がある

「登記事項要約書」と「登記事項証明書」は、名前は似ていますがその役割は全く違うものです。

「登記事項要約書」は、あくまで閲覧に代わるもので、単に登記簿の内容をプリントアウトしただけになります。

作成日付や登記官の認証等も記載されておらず、どこかに提出してもそれで不動産の内容について証明できるだけの証明力がありません。

一方、「登記事項証明書」には、「これは登記記録に記載されている事項の全部を証明した書面である。」等の認証文が入り、作成日付、登記所名、登記官の名前が記載され、登記官印が押されています。

つまり、登記事項証明書は、公的に認証された書面として証明力がありますから、様々な手続きの際に提出できます。

登記事項証明書のホチキスは外してもいい？

ホチキスを外せば登記事項証明書が単なるコピーになる

登記事項証明書が複数枚のときにはホチキス留めされた状態で発行されますから、コピーをとる際にホチキスを外してよいものかどうか悩むことがあります。

登記事項証明書は、複数枚を綴じた状態で登記官が認証を付けたものと考えられますから、一度ホチキスを外してしまうと、証明力がなくなるという考え方があります。

もちろん、この場合も不動産の内容を確認できることには変わりないですから、ホチキスを外せば全く役に立たなくなるわけではありません。

ただし、ホチキスを外した後でその登記事項証明書を公的機関等に提出する必要がある場合には、証明力がないものとして無効と判断される可能性があります。

つまり、理屈としては、一旦ホチキスを外してしまうと、証明力のある登記事項証明書がただのコピーになってしまうということです。

現実には外しても問題ないことが多い

登記事項証明書のホチキスを外したら無効ということが法律に明記されているわけではなく、どう扱うかは結局のところ提出先の公的機関等の判断になります。

現実には、すべての公的機関でそこまで厳格な扱いがされているわけではありません。

実務においても、登記事項証明書のホチキスを外してコピーをとり、再度ホチキスで留めてから提出するということはよく行われています。

うっかりホチキスを外してしまったからと言って必ずしも取得し直さなければならないわけではありません。

しかし、登記事項証明書を公的機関等に提出する必要がある場合には、コピーをとるときにも、できればホチキスを外さないように気を付けておいた方が良いでしょう。

外国に提出する場合には要注意

登記事項証明書を外国の官公署等に提出する場合には、押印されている登記官印が真正であるという「登記官印証明」を法務局で付けてもらった上で、外務省の認証を受ける必要があります。

登記事項証明書に登記官印証明を付けてもらう際には、ホチキスを外していれば受け付けてもらえません。

ホチキスを外してしまえば登記事項証明書を再取得しなければならないこともありますから、くれぐれも注意しておきましょう。

登記事項証明書は登記官が認証した書面ですから、どこに提出しても通用する証明力があります。

登記事項証明書のコピーをとるときには、書面の有効性に影響を与えないよう、ホチキスを外さずにそのままコピーするのが安心です。

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