活動していないNPO法人は解散を視野に!
監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

NPO法人を作ったけれど、ほとんど活動していないということはないでしょうか?法人が存続している限り、手続きの手間が発生して負担になります。活動していないNPO法人は、解散を検討しましょう。
ここでは、NPO法人の解散手続きについて説明します。
目次
NPO法人にはさまざまな義務がある

NPO法人とはどんな法人?

NPO法人は、正式には特定非営利活動法人といいます。
特定非営利活動促進法(NPO法)で定められた特定非営利活動を行うために法人格を与えられたものです。
特定非営利活動とは、ボランティアなど市民の自由な社会貢献活動です。
NPO法人を設立するには、条件をみたした上で、所轄庁の審査を受けなければなりません。所轄庁とは、NPO法人の認証権及び監督権を持つ行政機関で、原則として都道府県知事になります。
所轄庁の認証を受けないと設立登記ができないので、NPO法人の設立は、株式会社や一般社団法人などと比べると手間や時間がかかります。ただし、NPO法人には資本金の規制もなく、登録免許税も免除されているので、設立にかかる費用は少なくてすみます。
NPO法人は活動していなくても事業報告義務がある

NPO法人は、設立後も所轄庁の監督を受けるので、さまざまな義務が課せられます。
その1つが事業報告義務です。毎事業年度終了後3か月以内に、所轄庁に事業報告書を提出しなければなりません。
事業報告書には、財産目録、貸借対照表、活動計算書、前事業年度の役員名簿や社員名簿も添付する必要があります。
これらの書類の作成には会計の知識も必要になり、かなりの手間がかかります。
活動していない場合でも、NPO法人が存続している限り、事業報告義務からは逃れられません。
報告義務を怠ると罰則が適用される場合も
NPO法人が期限までに事業報告書を提出しなかった場合には、過料に処せられるという罰則も設けられています。3年以上事業報告を行わなかったときには、設立認証が取り消されることがあります。
役員変更登記の義務もある
NPO法人の役員を変更した場合には、2週間以内に法務局で役員変更登記をしなければなりません。
この点については、株式会社等他の法人と同様です。
NPO法人の場合には、理事の任期は最長で2年です。同じ人が続けて理事に就任する場合でも、重任登記をしなければなりません。
つまり、2年に1回は必ず役員変更登記が必要になるということです。
NPO法人が必要な役員変更登記を怠った場合にも、登記懈怠として過料に処せられる可能性があります。
活動していないNPO法人は解散手続きを進めよう

解散しない限り事業報告義務等がある
NPO法人を設立したけれど、もう活動していないという場合には、法人の解散を検討するのがおすすめです。
活動していない法人にも事業報告義務がある上に、役員変更手続きの負担も生じます。解散しない限り、こうした義務はついてまわるからです。
なお、解散してNPO法人が活動を停止しても、法人格は残ったままです。
解散後に清算手続きを行って、清算結了となれば法人格が消滅することになります。
NPO法人を解散する方法
では、NPO法人を解散させるにはどのような方法があるでしょうか?
NPO法では、NPO法人の解散事由として、次のようなものが定められています。
NPO法人は社員総会の決議により解散できるので、任意に解散したい場合には社員総会で解散決議を行えばいいということです。株式会社が株主総会の決議で解散できるのと同様です。
なお、事業の成功の不能を理由に解散する場合には、その旨を証明する書面を所轄庁に提出し、認定を受けなければなりません。社員総会の決議で解散する場合には、所轄庁へは届出をすればOKです。
以下、NPO法人の解散手続きについて具体的にみていきます。
NPO法人の解散手続きの流れ

社員総会の決議によりNPO法人を解散する手順は、以下のようになります。
1. 社員総会の決議
社員総会を開催し、解散決議を行います。定款で別途定めていない限り、総社員の4分の3以上の賛成があれば解散決議ができます。
解散後の手続きは、清算人が行います。清算人には理事が就任するのが通常ですが、理事以外の人が清算人になる場合には、社員総会での選任決議が必要です。
なお、NPO法人の残余財産は、社員に分配されるわけではありません。定款で「残余財産の帰属先は社員総会で選定する」旨が定められている場合には、解散時に残余財産の帰属先も決めます。
NPO法人の残余財産の帰属先については、次のようなルールになります。
ア 定款で帰属先を定めている場合→定款で定めた帰属先に帰属します。帰属先として選べるのは次のようなところです。
・他のNPO法人
・国又は地方公共団体
・公益社団法人または公益財団法人
・学校法人
・社会福祉法人
・更生保護法人
→解散総会で帰属先を決めます。
ウ 定款で帰属先に関する定めがない場合→所轄庁の認証を得て、国または地方公共団体に残余財産を譲渡することができます。
ア~ウで帰属先が決まらない場合→国庫に帰属します。
2. 解散及び清算人就任登記の申請
社員総会の決議から2週間以内に、法務局で解散及び清算人就任登記を申請します。登記申請には、社員総会議事録のほか、定款などの書類が必要になることがあります。
3. 所轄庁への解散の届出
NPO法人を解散したら、所轄庁に届出しなければなりません。清算人は、解散及び清算人就任の登記がされた後の登記事項証明書を、解散届出書に添付して提出します。
なお、税務署、都道府県税事務所、市区町村役場にも解散の届出が必要な場合がありますので、各届出先に確認してみましょう。
4. 解散の公告
NPO法人が解散したときにも、債権者保護のための公告が必要です。この公告は官報により行います。
解散公告では、2か月以上の期間を定めて、債権者に債権を申し出るよう催告します。公告では、申し出がない場合に清算から除斥(排除)される旨も付記しなければなりません。
たとえば、以下のような公告文になります。
「当法人は、令和○年○月○日に社員総会決議により解散したので、当法人に債権を有する者は、本公告掲載の翌日から2か月以内にお申し出ください。期間内にお申し出がないときは清算から除斥します」
官報公告にかかる費用は約3万円です。清算人は、判明している債権者に対しては、個別の催告もする必要があります。
5. 清算業務
清算人は、法人の清算のために必要な業務を行います。未完結の事務を終わらせ、債権の取り立てや債務の弁済を行って財産を整理します。残余財産が確定したら、帰属先に引き渡します。
6. 清算結了
解散公告で定めた公告期間が経過し、清算手続きが完了した時点で清算結了となります。株式会社のように総会で清算の報告をする必要はありません。
7. 清算結了登記の申請
清算結了の日から2週間以内に、法務局で清算結了登記を申請します。登記申請書には清算事務報告書を添付します。
8.所轄庁への清算結了届出
清算結了登記が完了したら、登記事項証明書を取得し、これを添付して所轄庁に清算結了届出を行います。
まとめ

活動していないNPO法人でも、毎年の事業報告や役員変更手続きを行わなければなりません。これらの手続きは複雑で負担が大きくなりがちですが、やらなかったら罰則もあります。
今後活動する再開する見通しが立っていない場合には、解散も視野に入れておくのがおすすめです。
NPO法人の継続で悩んでいる方や手続きを検討している方は、司法書士はやみず総合事務所にご相談ください。
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