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カテゴリー: 基礎知識

【司法書士が解説】会社の廃業にかかる「費用と期間」を徹底解剖!総額相場と最短スケジュール

監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

会社の廃業を決意された経営者の皆様にとって、最も切実な関心事の一つが「費用がいくらかかるのか」そして「いつまでに完了するのか」ではないでしょうか。

会社の廃業手続きは、大きく分けて「解散」と「清算結了」の2つのステップで構成され、司法書士が専門とする登記手続きが必須となります。

この記事では、登記の専門家である司法書士の視点から、会社の廃業を検討している方が、資金準備と今後のスケジュールを正確に立てられるよう、廃業にかかる費用相場と期間の全体像を具体的に解説します。

この記事を読むことで、不安を解消し、円滑な廃業への第一歩を踏み出せるでしょう。

総額費用の目安 :約40万円~90万円が相場。(法定費用 約7.6万円 + 司法書士・税理士報酬)

最短期間 :約3ヶ月。官報公告の法定期間2ヶ月は短縮不可。

期間短縮の鍵 :登記の専門家である司法書士と税務の税理士との連携が必須。登記書類の不備や税務申告の遅延が期間長期化の最大の原因です。

注意点 :債務超過がある場合や、税務調査が入る場合は、費用が大きく増加し、期間も大幅に長期化するリスクがあります。

当事務所では、『会社を廃業したいが手続きをどう進めればいいのか分からない』といった方からのご相談をお受けしています!
会社解散 清算結了登記の格安代行

会社廃業の「総額費用」内訳と相場 💰

会社の廃業(解散・清算結了)にかかる費用は、大きく「法定費用」と「専門家報酬」に分けられます。

法定費用(必ずかかる実費)

廃業手続きに必要な登記公告にかかる費用で、金額が法律で定められています。(株式会社の場合)

費用の種類 金額 費用の概算
解散の登記 3万円 法務局に会社が解散したことを登記するための登録免許税。
清算人選任の登記 9,000円 解散と同時に清算人を定め、登記する際の登録免許税。
清算結了の登記 2,000円 清算手続きが完了したことを登記するための登録免許税。
官報公告 約3.6万円 会社債権者に異議申述の機会を与えるため、国が発行する官報に掲載する費用。
合計 約7.7万円 (最低限の法定費用)

専門家報酬の相場(ケースにより変動)

登記の専門家である司法書士、税務の専門家である税理士への依頼が一般的です。

専門家 依頼する業務 報酬の目安
司法書士 解散・清算人選任・清算結了の登記手続き一式 15万円~30万円
税理士 解散事業年度、清算事業年度、残余財産確定事業年度の確定申告書の税務申告 20万円~50万円
弁護士 債務超過時の特別清算や破産の申立て 50万円~150万円

廃業の総額費用の目安

通常の清算手続きで、債務超過がなく比較的スムーズな場合、合計:約40万円〜90万円(法定費用 + 司法書士報酬 + 税理士報酬)が相場です。

ただし、当事務所にご依頼の場合、司法書士業務(フルサポート、法定費用含む)と解散専門税理士報酬を合わせた総額約30万円(※)からのプランを提供しています。相場と比較して大幅に費用を抑えられるのが強みです。

(※)内訳:当事務所フルサポートプラン20万円(法定費用約7.6万円込み)+ 提携税理士報酬9.9万円。別途、会社の状況により変動する実費等が発生する場合があります。

当事務所では、『会社を廃業したいが手続きをどう進めればいいのか分からない』といった方からのご相談をお受けしています!
会社解散 清算結了登記の格安代行
専門家報酬を変動させる「3つの要因」

以下の要因がある場合、報酬が高くなる傾向があります。

【税理士報酬の増大】税務処理リスク

会社の過去の税務申告が未了であったり、会計帳簿が未整備な場合、税務処理の工数が大幅に増大します。その結果、税理士報酬が加算される大きな要因となります。

【司法書士報酬の増大】定款・重要書類の紛失リスク

定款や株主名簿、過去の登記に関する書類などを紛失している場合、司法書士が調査や代替書類の作成を行う必要が生じます。特に定款は会社の規定を示す最重要書類であり、紛失している場合は司法書士の作業工数が増加します。

従業員対応の有無

従業員の解雇予告手当や退職金計算、離職票発行などを専門家に依頼する場合、追加報酬が必要です。

会社廃業の「全体期間」と各ステップの詳細 ⏱️

標準的な廃業期間:最短で約3ヶ月

通常の清算手続きにかかる期間の目安は、解散決議から清算結了まで最短で約2ヶ月半〜3ヶ月です。
ステップ 期間の目安 期間の根拠
1. 解散と清算人選任の決議・登記 1~2週間 株主総会での特別決議により解散、清算人を決定し、法務局への登記申請します。
2. 官報公告・個別通知期間 2ヶ月以上 債権者に異議申述の機会を与える法定期間です。この期間は短縮できません。
3. 清算事務・残務整理 期間変動あり 財産目録作成、債務の弁済、財産の換価(売却)、残余財産の分配など。
4. 清算結了の登記・税務申告 1~2週間 清算事務完了後、株主総会の承認を経て、登記申請と確定申告。
合計期間 2ヶ月半〜3ヶ月 会社の状況や残務処理の速度により長期化します。

期間短縮を左右する「スピードアップ戦略」

法定期間は動かせませんが、以下の工夫で全体の完了時期を早められます。

【司法書士の役割】登記書類の完璧な準備

登記書類に不備があると、法務局からの補正指示で時間をロスします。司法書士に依頼することで、解散決議後すぐに完璧な書類を提出し、登記を迅速に進められます。

公告期間の有効活用

解散決議後、すぐに官報掲載の申し込みを済ませ、2ヶ月の公告期間中に、残存する会社資産の処分や、売掛金の回収など、清算事務を集中して完了させます。

司法書士からのアドバイス

官報公告の申し込みは、清算人が「官報販売所」に対して、公告原稿(会社名、清算人名、解散した旨、債権者は異議があれば申し出る期間など)をメールやFAXで送付し、掲載料を支払うことで手続きを進めます。

なお、申し込みから実際に掲載されるまで、約2週間程度かかります。この2週間が、公告期間2ヶ月のスタートを遅らせる要因になりますので、解散決議をしたら、なるべく早く申し込み手続きを行うようにしましょう。

長期化するケース:税務調査と係争リスク

以下の要因により、手続きが大幅に長期化(数ヶ月〜数年)するリスクがあります。
税務署のチェック

多額の欠損金がある場合や清算時の財産分配が大きい場合、税務署の清算事務に対する税務調査が入り、清算結了の登記が保留されることがあります。

係争中の債務がある場合

会社が債権者との間で訴訟(裁判)を抱えている場合、その裁判が確定判決や和解などにより最終的に終結するまでは、清算手続きを完了できません。

これは、清算の目的が残余財産を確定して株主に分配することにあるためです。裁判の結果、会社が負債を支払う義務が生じる可能性が残っている限り、清算事務は「未了」とみなされます。結果として、清算事務報告書の承認や清算結了の登記申請ができず、手続きが長期化するリスクがあります。

債務超過・資金不足の場合:特別清算と破産

債務超過で通常の清算手続きが難しい場合、裁判所を介した法的手続きが必要となります。
手続き 費用目安(弁護士報酬) 期間目安 特徴
特別清算 50万円~ 6ヶ月~1年 債権者の同意が得られれば、破産より迅速・柔軟に解決可能。
破産 50万円~150万円以上 6ヶ月~数年 債務の規模や債権者数により費用・期間が変動。最終的な法的解決。

廃業の判断を後悔しないために:M&Aとの比較検討 ⚖️

廃業はコストがかかる一方で収益を生み出しません。廃業を決断する前に、「M&A(会社売却・事業譲渡)」の可能性を比較検討することが、「損切り」判断において極めて重要です。
比較項目 会社の廃業(清算) M&A(事業譲渡・会社売却)
費用 専門家報酬・法定費用が発生する(コスト) 買い手から売却益が入る可能性(収入)
専門家 司法書士、税理士が中心 M&A仲介会社、弁護士、公認会計士が中心
事業 会社は消滅する 事業・ノウハウは存続する

当事務所の解決事例 🤝

解決事例:司法書士が清算人に就任し、スムーズな清算を結実させたケース

依頼者 代表取締役(兼株主の一人)
会社の状況 株主4名。主要な取引先からの受注停止により事業継続が困難な状態。
課題 他の株主1名が会社の解散に反対しているが、解散決議は行える状況。
当事務所の役割 司法書士が清算人に就任し、会社解散手続きの一切を代行。
株主間の調整と決議

当初、解散に反対していた株主に対し、当事務所の司法書士が代表取締役と連携し、株主総会の場で会社の厳しい経営状況(主要取引先からの受注停止)を丁寧に説明。これにより、他の株主も事業継続の難しさを理解し、最終的に全会一致で解散決議への同意を得ることができました。

清算事務の迅速な実行

g司法書士が清算人に就任したため、解散後の煩雑な事務手続きをすべて代行。債務の返済、預金口座2件の解約といった残務処理を迅速に進めました。

残余財産の確定と分配

清算事務終了後、残った財産を株主4名に対し、出資割合に応じて公正に分配し、全ての銀行口座を閉鎖。財産分配報告書を作成し、株主総会で承認を得て、円満かつ迅速な清算結了登記を完了させました。

【この事例が示す強み】

当事務所は、単に登記書類を作成するだけでなく、第三者の専門家(司法書士)として介入することによって、株主間のスムーズな合意形成を支援し、また煩雑な業務を代行しております。

まとめ:司法書士・税理士との連携が迅速な廃業のカギ

会社の廃業手続きは、複数の登記や税務申告、法的に厳格な期間の順守が求められる複雑なプロセスです。

費用は目安40万円〜90万円、期間は最短3ヶ月ですが、登記手続きの正確さがスピードを左右します。

司法書士は、解散・清算結了の登記手続きを正確かつ迅速に完了させるための不可欠なパートナーです。不安を抱えたまま手続きを進めるのではなく、まずは信頼できる司法書士や税理士といった専門家に相談し、正確な費用とスケジュールを把握することから始めましょう。

当事務所では、『会社を廃業したいが手続きをどう進めればいいのか分からない』といった方からのご相談をお受けしています!
会社解散 清算結了登記の格安代行

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代表プロフィール

速水 陶冶
(はやみず とうや)

東京司法書士会(登録番号 5341号)
※簡易裁判所代理権認定(認定番号 1001015号)

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