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相続手続きリスト|相続手続きの期限や必要書類とは?

自分で相続手続きを進めようとしているけれど、上手くいかずにお困りではありませんか。いざ相続に直面すると、やるべき手続きの多さに頭を抱える相続人の方は多いと思います。

相続手続きは、慣れない書類集めや書類作成をおこなわなくてはならず、その手続きには期限があります。手続きには専門的な知識も必要になるため、初めての方は途中で行き詰まることがよくあります。

相続手続きは司法書士のような専門家に相談するのが適切ですが、まずは「必要な手続き」「期限」「書類」などの流れを知ることで手続方法への理解が深まります。

ここでは、相続手続きについて種類別に注意点や期限・必要書類などについて解説します。

相続まるごと代行

目次

相続手続きとは

被相続人が亡くなって葬儀が終わると、次は「死亡届の提出」「介護保険資格喪失届」「住民票の抹消届」「世帯主の変更」など、の様々な手続きに忙殺されます。

これらの手続きと並行しておこなわなくてはならないのが相続手続きです。相続手続きとは、「遺言書の調査」「財産調査」「遺産分割協議」「相続登記(不動産名義変更)」など、亡くなった被相続人の遺産を相続するための各種手続きのことです。

相続手続きは、その種類によって、法務局、金融機関、役所、税務署など、管轄が違うため、手続きは煩雑になります。また、期限が限られている手続きもあるため、速やかに進めなくてはなりません。

相続手続きは、司法書士、弁護士、税理士などの専門家に代行を依頼するのが一般的ですが、自分でできることも少なくないですので、基本的な知識を知ることで手続きをスムーズに進めることが可能になります。

遺言の調査・確認

相続では遺言書が優先される

遺言とは、身内への最後のメッセージとともに自分の死亡後に所有する財産を家族・親族などにどのように引き継いでもらうかを書き遺した文書のことです。

被相続人の死亡後に遺言書が見つかったとします。そして、その遺言書が法的に有効であると認められたならば、相続は遺言書に従って行われることになります。

そのため、相続の手続きを開始するにあたっては、遺言書の有無を確認する必要があります。

遺言の探し方

ほとんどの方は遺言を書いたことを生前に身内には話さないものです。家族は遺言について知らされていないため、いざ相続が開始されてから遺言書を探すのはひと苦労です。

遺言書は以下のような場所で見つかることが多いですので、一度確認してみましょう。

・タンスや引き出しの中
・入院中の病院
・仏壇
・親しい友人に預けている
・貸金庫
・信託銀行
・弁護士

公正証書遺言の有無の調査

被相続人は、遺言書を確実なものとするために、公証役場で遺言を公正証書化している可能性があります。

遺言書を公正証書遺言にして残していれば、相続人は公証役場のデータベース(遺言検索システム)を利用して無料で調べることができます。

戸籍謄本等(被相続人の死亡や相続人であることが確認できるもの)及び本人確認書類を最寄りの公証役場へ持参すれば、公正証書遺言の検索ができます。

検索の結果、公正証書遺言があることがわかった場合には、有料で閲覧または謄本請求をすることができます。

自筆証書遺言の検認手続き

検認とは

検認とは、遺言を発見した人や保管していた人が家庭裁判所に届け出をおこない、相続人立会いのもとで内容を確認することです。亡くなった人が残していた遺言が自筆証書遺言の場合には、相続手続きの前提として、家庭裁判所で遺言書の検認を受ける必要があります。

遺言書の検認は、すべての相続人に対して遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、状態、日付、署名などを明確にし、偽造や変造を防止するための手続きになります。

そのため、遺言書が見つかったら、開封する前に検認を申し立てなければなりません。しかしながら、検認を受ける前に遺言書の発見者が開封してしまうことはよくあります。

うっかり遺言書を開封してしまっても、その遺言が無効になることはありませんので、すぐに検認申立てをするようにしましょう。

遺言書の検認の流れ

遺言書の検認手続きの一般的な流れは、次のようになります。

1. 検認の申立て

検認の申立てができるのは、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人になります。申立先は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。申立ての際に必要な書類等は、次のとおりです。

○申立書
○遺言者との相続関係がわかる戸籍(除籍・改製原戸籍含む)謄本一式
○収入印紙(遺言書1通につき800円)
○裁判所からの連絡用郵便切手(※相続人の人数等によって変わります)

2. 検認期日の通知

検認申立書が受理されると、家庭裁判所から相続人に検認期日が通知されます。検認期日に出席するかどうかは相続人の自由です。

3. 検認期日

家庭裁判所において、相続人の立ち会いのもと、遺言書が開封され、検認が行われます。

4. 検認済証明書の申請

遺言により相続手続きを行うには、遺言書に検認済証明書が付いている必要があります。そのため、検認終了後、検認済証明書を申請する必要があります。検認済証明書の申請には、遺言書1通につき150円の手数料(収入印紙)がかかります。

遺言書の検認の期限

遺言書の検認申立てに、明確な期限は定められていません。ただし、遺言書の保管者は「相続の開始を知った後」、遺言書の発見者は「遺言書を発見した後」に“遅滞なく”検認を請求しなければならないとされています。

検認が遅れても裁判所から罰則を受けることはありませんが、遺言書の検認をしなければ、それだけ相続手続きは遅れることになります。時間が経つことで相続問題が複雑になることがあるため、検認はできるだけ早くおこなった方が良いでしょう。

相続人調査

相続人調査とは

相続人調査とは、相続関係がわかる戸籍(除籍・改製原戸籍含む)謄本を取り寄せ、法定相続人が誰かを調査し、確定することです。法定相続人とは、次の人になります。

①配偶者

被相続人に法律上の婚姻をしている配偶者がいれば、その配偶者は常に相続人になります。

②子

被相続人に子がいる場合、子は第1順位の相続人であるため、常に相続人になります。子には実子だけでなく養子も含まれます。また、子が被相続人よりも前に亡くなっている場合には、孫などが代襲相続により子の代わりに相続人となります。

③直系尊属

被相続人に子がいない場合、直系尊属(父母、祖父母など)のうち最も親等の近い人が、第2順位の相続人になります。

④兄弟姉妹

被相続人に子がおらず、父母や祖父母などの直系尊属も全員亡くなっている場合には、兄弟姉妹が第3順位の相続人になります。兄弟姉妹が被相続人よりも前に亡くなっている場合には、兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)が代襲相続により相続人となります。

相続人調査の方法

相続人調査は、被相続人の死亡時の戸籍謄本から、出生時まで遡って戸籍謄本を集めます。そして相続人に該当する人を探して戸籍を追っていき、相続人の生存がわかる戸籍謄本を揃えます。

さらに直系尊属の生存・死亡の確認や兄弟姉妹の有無の確認のために、被相続人の出生前の父母の戸籍まで遡らなければならないこともあります。

人の戸籍は一生同じではなく、結婚、離婚、転籍などにより変わります。また、戸籍は何度か改正が行われているため、改正前の戸籍(改製原戸籍)を取り寄せなければならないこともあります。

つまり1つの役所ですべての戸籍が揃うということはほとんどなく、複数の役所からいくつもの戸籍を取り寄せなければならないケースが多いのです。相続人調査というのは、一般の方が自分だけでおこなうのは大変な作業ということが言えます。

相続人調査の必要性

相続人調査をおこなうことで、被相続人に思わぬ過去があったというケースがあります。

たとえば、相続人が配偶者と子だけのときには、相続人は家族だけですから、わざわざ調査する必要ないと思うかもしれません。しかし、実際に相続人調査をしたら、被相続人に「離婚歴があり前婚の際の子どもがいた」「被相続人が認知をしている隠し子がいた」というケースがあります。

被相続人の子である以上、これらの人も相続人に該当するため相続の際には連絡を取る必要が生じます。

名義変更など各種の相続手続きの際には、法務局等から相続関係がわかる戸籍謄本一式の提出を要求されます。戸籍謄本を取り寄せて相続人調査を行うことは、相続手続きにおいては欠かせない作業になります。

相続関係説明図の作成

相続関係説明図とは、すべての相続人の関係を図式化したものです。相続関係説明図は、相続登記申請の際に法務局に提出した戸籍の原本を還付してもらう際に必要になります。

相続財産調査を行って相続人が確定したら、相続関係説明図を作成しておくと、相続手続きがスムーズにできますので必ず作成しておきたい書類です。

相続関係説明図の作成は個人でもできますが、司法書士のような専門家に作成を依頼することもできます。

相続人調査の期限

相続人調査には、期限は設けられていません。しかしながら、相続人を確定しなければ相続手続きを進めることができないため、相続開始(被相続人の死亡)したら早急に相続人調査をする必要があります。

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相続財産調査

相続財産調査とは

相続財産調査とは、被相続人が残したすべての財産(遺産)を調べて確定することです。この相続財産が確定しないことには遺産分割協議などの相続手続きを進めることはできません。

被相続人の多くが自身の財産をまとめた目録などを作成しておらず、家族にも伝えないまま相続開始(亡くなる)となるケースが多いです。

そのため、相続開始後には速やかに相続財産調査をおこなう必要性があります。

相続財産調査の方法

相続財産調査では、被相続人の自宅などに下記のような財産がないかを探します。調査するときには、次のような方法が考えられます。

①預貯金

通帳、カード、ATMの明細などがあれば、預貯金の存在がわかります。被相続人の預貯金口座を所有している金融機関がわかれば、残高証明書を請求し、相続開始時の預貯金残高を調べます。

②株式

現在、上場株式は電子化されており、紙の株券は発行されていません。非上場株式についても、株券不発行の会社が多いため、株券から株式の存在がわかるということはあまりないはずです。株式を所有しているかどうかは、証券会社からの郵便物(取引残高報告書など)や株主総会招集通知などが手がかりになります。

電子化後の上場株式は「証券保管振替機構(ほふり)」に預託されているため、ほふりに「登録済加入者情報の開示請求」をすれば、被相続人が証券口座を開設していた証券会社がわかります。

開示請求を行うときには、相続人の本人確認書類、相続関係がわかる戸籍謄本、被相続人の住民票除票、手数料2000円が必要です。

なお、電子化の手続きがとられていない上場株式の株券(タンス株)が出てきた場合でも、権利がなくなっているわけではなく、手続きをとることにより相続できますから、放置しないようにしましょう。

③不動産

被相続人が不動産を所有している場合には、登記済証(権利証)や固定資産税納税通知書から地番や家屋番号を調べ、法務局で登記事項証明書を取得します。

不動産を所有しているはずだけれど詳細がわからない場合には、市区町村役場で名寄帳(固定資産課税台帳)を閲覧することで確認できます。

④負債

相続では財産だけでなく借金などの負債も承継することになりますから、負債の有無も調べる必要があります。借用書や請求書、ローンの明細書などがないかどうかをチェックしましょう。

相続財産目録の作成

相続財産目録とは、不動産、預貯金、あるいは負債などを一目で把握できるようにするための一覧表です。相続時に財産目録の作成は義務化されていませんが、相続手続きをおこなう際に作成しておくと便利です。

東京家庭裁判所のホームページからもダウンロードできます。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/shokaizaisanmokuroku.pdf

相続財産調査の期限

相続財産調査に期限は設けられていません。遺産分割に期限はありませんが、相続税の申告(相続開始後10ヶ月以内)や相続放棄(相続開始後3ヶ月以内)をする場合にはそれぞれ期限があります。

いずれも相続財産の調査をおこなわないと手続きを速やかにおこなうことができません。相続開始後はできるだけ早く相続財産調査をおこなうほうが良いでしょう。

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相続放棄・限定承認

借金を相続したくない場合の選択肢

相続では、相続人は現金や不動産などの資産(プラスの財産)を引き継ぐだけでなく、借金などの負債(マイナスの財産)についても引き継がなくてはなりません。

ただし、被相続人が残した借金が多い場合には、その負担から逃れるために、「相続放棄」または「限定承認」を選ぶことができます。

相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がず、相続人としての立場を放棄することです。相続放棄をすれば、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。

限定承認とは、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐものです。マイナスが多い場合には、超過分を相続人が負担する必要はありません。

相続放棄や限定承認を行わない場合には、「単純承認」となり、相続人は原則どおりプラスの財産、マイナスの財産すべてを引き継ぐことになります。

相続放棄・限定承認の手続き方法

相続放棄または限定承認を行いたい場合には、家庭裁判所で「相続放棄の申述」または「限定承認の申述」の手続きをする必要があります。

相続放棄の申述は各相続人が個別に行うことができますが、限定承認の申述は、相続人全員(相続放棄をした人を除く)でおこなうことになります。

相続放棄をする場合には、申述が受理されれば手続き完了です。一方で限定承認の場合には、申述が受理された後に家庭裁判所によって選任された相続財産管理人が、相続財産の清算手続きをおこないます。

相続放棄・限定承認の期限

相続放棄または限定承認の申述は、相続開始を知った時から3ヶ月以内に行わなければなりませんが、この期間を「熟慮期間」と呼びます。この熟慮期間を過ぎてしまうと、それ以降は相続放棄や限定承認はできずに自動的に単純承認となります。

相続財産調査に時間がかかるなどの事情で、3ヶ月の熟慮期間内に相続放棄や限定承認するかを決められない場合には、家庭裁判所に「熟慮期間の延長(相続の承認又は放棄の期間の伸長)」を申し立てることができます。

ただし、延長申し立てができるのは熟慮期間中の3ヶ月以内が原則となります。また、延長される期間は基本3ヶ月ですが、事情によって6ヶ月、さらには複数回延長できるケースもあります。

所得税の準確定申告

相続人が行う被相続人の確定申告「準確定申告」

亡くなった被相続人の所得税の申告を相続人がおこなうことを「準確定申告」と言います。確定申告をしなければならない人が年度の途中で亡くなった場合、相続人が代わりに「準確定申告」という形で申告を行わなくてはなりません。

被相続人が3月15日までに亡くなり、前年度の確定申告をしていない場合には、前年分と亡くなった年の分の両方の申告が必要になります。

準確定申告が必要な人

亡くなった人がサラリーマンだった場合には、勤務先で年末調整が行われるため、準確定申告は不要です。準確定申告が必要な人、または準確定申告することで還付が受けられる人は、次のような人になります。

○個人で事業を行っていた人
○不動産を賃貸していた人
○不動産を売却した人
○公的年金を受給していた人
○多額の医療費を支払った人
○2ヶ所以上から給与をもらっていた人
○給与・退職金以外の所得がある人

など

準確定申告の期限と必要書類

準確定申告は、相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に手続きをしなければなりません。納税期限も申告期限と同じなので、納税額が発生する場合には申告期限までに納税を行う必要があります。

準確定申告の際には下記のような書類を用意して申告をおこないます。

・確定申告書
・給与・年金の源泉徴収票
・配偶者控除、扶養控除
・各種保険の控除証明書(生命保険、社会保険、損害保険など)
・医療費の領収書(医療費控除の申請をおこなう場合)

遺産分割協議

遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、相続開始後に相続人全員で遺産(財産)をどのように分けるかを話し合って決める協議のことです。

例えば、被相続人が遺言を残していない場合には、金銭債権などの可分債権を除き、相続財産は相続開始と同時に相続人の共有となります。

相続財産が共有のままだと不都合が生じるため、これを相続人全員でどのように分配するかを話し合うという遺産分割協議が必要になります。

遺産分割協議の方法

遺産分割協議は、相続人全員で協議する必要がありますが、相続人全員が一堂に会して話し合う必要はなく、書面のやりとりで話をまとめることも可能です。

ただし、一部の相続人を除外した遺産分割協議は無効になりますので、必ず相続人全員に連絡をとる必要があります。また、遺産分配の方法について相続人全員が合意すれば、遺産分割協議が成立したことになります。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議が成立したら、合意した内容を「遺産分割協議書」という書面にします。遺産分割協議書には相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。

なお、すべての相続財産について1通の遺産分割協議書にまとめる必要はなく、相続財産ごとに遺産分割協議書を作成してもかまいません。

遺産分割協議書は、不動産や預貯金の名義変更などの相続手続きに必要ですので早めに協議の場を設けて作成するのがよいでしょう。

ちなみに、この遺産分割協議書作成は「相続後の家族間のトラブルを防ぐ」という役割も果たします。後で「言った、言わない」とならないように協議書を作成することで相続人全員が合意したという証拠になります。

遺産分割協議ができない場合の遺産分割方法

遺産分割協議で話し合いをおこなったものの相続人の間で遺産分割に合意ができないことがあります。そのようなケースでは家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てて解決を図ることができます。遺産分割調停では、裁判官と調停委員から構成される調停委員会が相続人の間に入り、話し合いの調整をおこないます。

この調停の場で相続人全員が合意すれば調停成立となり、調停で決まった内容に従って相続手続きがおこなわれます。調停不成立となった場合には、審判手続き(遺産分割審判)に移行します。遺産分割審判では、裁判官が一切の事情を考慮して、遺産分割の方法を決めることになります。

遺産分割の期限

遺産分割には、法律上定められた期限はありません。ただし、相続税の申告の際に、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を利用したい場合には、遺産分割が終わっていることが前提になります。相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月)までに遺産分割を終わらせた方がよいでしょう。

なお、相続税の申告期限までに遺産分割が終わっていない場合には、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出しておきます。そうすれば3年以内に遺産分割を終わらせることで特例の適用を受けることができます。

遺留分減殺請求

遺留分とは

遺留分とは、遺言の内容や生前贈与にかかわらず、相続人が最低限相続できる財産の割合のことです。ただし、被相続人の兄弟姉妹には遺留分はなく、遺留分があるのは、配偶者、子、直系尊属になります。

1つの相続において、遺留分のある相続人(遺留分権利者)全員で確保できる相続財産の割合は、次のとおりです。

①直系尊属のみが相続人の場合…被相続人の財産の3分の1

たとえば、被相続人の父、母の2人が相続人である場合、父と母の遺留分は各6分の1になります。

②①以外の場合…被相続人の財産の2分の1

たとえば、被相続人の配偶者、長男、次男の3人が相続人である場合、配偶者の遺留分は2分の1に法定相続分(2分の1)をかけた4分の1。長男及び次男の遺留分はそれぞれ2分の1に法定相続分(4分の1)をかけた8分の1になります。

遺留分減殺請求とは

遺留分減殺請求とは、遺留分の権利がある相続人が請求をおこなう行為のことです。

例えば、「遺言による遺贈」「相続開始前1年以内の生前贈与」「遺留分権利者に損害を与えることを知って行われた生前贈与」などにより、自分の遺留分を他の相続人が取得してしまったというケースがあります。

そのような場合には、遺留分権利者はその取り戻しを請求することができますが、この取り戻し請求のことを「遺留分減殺請求」といいます。

遺留分減殺請求の方法

遺留分減殺請求の方法に決まった方式はありません。遺留分を侵害している人に対して、遺留分を返還してほしいという意思表示をすれば、基本的にはOKです。

ただし、口頭で遺留分減殺請求をしても、証拠が残っていないことによりトラブルになることがありますので書面にして請求をおこなうべきでしょう。この場合。配達証明付きの内容証明郵便にて請求する方法が確実です。

遺留分減殺請求後の流れ

遺留分減殺請求を行った後に遺留分を侵害している人が、遺留分の返還に任意に応じてくれるようならば合意書を交わして返還を受けることです。

遺留分返還に応じてくれない場合には、家庭裁判所に遺留分減殺請求調停(遺留分減殺による物件返還請求調停)を申し立てることができます。

家庭裁判所の調停委員が双方の主張や話しを聞いた後に、和解案を提示して解決を目指すことになります。調停でもまとまらなければ最後は訴訟を提起して解決します。

遺留分減殺請求の期限

遺留分減殺請求は、相続開始と遺留分侵害を知ったときから1年以内に行わなければなりません。

ただし、相続開始から10年経過してしまうと、それ以降は遺留分減殺請求ができなくなってしまいます。

相続税の申告

相続税の申告が必要なケース

相続人等が相続や遺贈によって取得した財産の額が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告が必要になります。基礎控除額とは、次の計算式で算出される額になります。

  基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

相続税の申告手続きと必要な書類

相続税の申告は被相続人が亡くなった場所を管轄する税務署に申告書を提出します。その際には、財産関係書類、債務関係書類、身分関係書類などを用意します。そして、集めた書類から相続税申告書を作成します。

相続人それぞれの下記の書類も添付して申告をおこないます。

・戸籍謄本1部
・住民票1部
・印鑑証明書1部
・個人番号カードのコピー1部

相続税の申告期限

相続税の申告及び納税は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。期限までに相続税の申告・納税を行わなかった場合には、ペナルティとして、延滞税が課されます。

延滞税は期限の翌月から2ヶ月以内に納付した場合には「年7.3%か前年の11月30日の公定歩合+4%」のいずれか低い方。期限から2ヶ月を超えた場合には「年14.6%」の高い延滞税を支払わなくてはなりません。

また、正当な理由なく申告期限までに相続税の申告をおこなわないと「無申告加算税」が課されます。(5%~20%)

いずれも相続税は申告期限までに支払わないと厳しい罰則が待っていますので注意が必要です。

不動産の相続手続き

相続登記とは

不動産を所有する被相続人が亡くなって、その不動産を相続人が引き継ぐ場合には相続登記という名義変更が必要になります。相続登記は、法務局に登記申請書と添付書類を提出して手続きをおこないます。

相続登記には期限がありませんが、相続した不動産をすぐに売却したいときには相続人の名義に変えないとできません。

相続登記は相続が開始されたら、できるだけ速やかにおこなったほうが良いです。この相続登記は司法書士に依頼しておこなうのが一般的です。

相続登記の必要書類

相続登記の添付書類としては、次のような書類が必要になります。

①遺産分割協議により不動産を相続する場合

○遺産分割協議書(相続人全員が実印を押印し印鑑証明書を添付したもの)
○相続関係がわかる戸籍謄本
○亡くなった人の住民票(除票)
○不動産を相続する人の住民票

②遺言により不動産を相続する場合

○遺言書
○亡くなった人及び不動産を相続する人の戸籍謄本
○亡くなった人の住民票(除票)
○不動産を相続する人の住民票

③遺産分割未了のまま法定相続分で登記する場合

○相続関係がわかる戸籍謄本
○亡くなった人の住民票(除票)
○相続人全員の住民票

①②③のどの場合にも必要な書類

○固定資産評価証明書
○委任状(司法書士に手続きを委任する場合)

相続登記の期限

相続登記には実は期限は設けられていません。亡くなった被相続人名義のまま不動産を放置していても罰則はありません。

しかし、相続登記しないままでいると不都合が生じます。不動産を相続しても、登記しなければ、自分が所有者であることを第三者に主張することができません。不動産を売却等して処分するにも、相続登記をして自分名義にしないと売却は不可能です。

時間が経過してから相続登記をしようとすると、必要書類が揃わずに手続きが複雑になることがあります。共有名義の場合には、時間が経つことで、相続人に該当する人がいつの間にか増えてしまい、自分の思い通りに不動産を処分できないケースもあります。

また、国は近い将来に「相続登記を義務化する」ことを検討しています。早めに相続登記の手続きをおこなったほうが良いでしょう。

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預貯金の相続手続き

預貯金を相続するまでの流れ

金融機関は預貯金口座の名義人が死亡したことを知ったら、その口座を凍結し、一切の入出金ができない状態にします。

そのため、凍結を解除するには、相続人が金融機関に申し出て、預貯金の相続手続きをおこなわなくてはなりません。手続き後は、書類審査を経ておおよそ1~2周間でその口座は解約となって相続人に預貯金が払い戻しされることになります。

預貯金の相続手続きの必要書類

預貯金の相続手続きに必要な書類は、細かくは各金融機関によって異なります。一般には、次のような書類が必要になります。

○相続手続依頼書(各金融機関で用意されているもの)
○遺産分割協議書(遺産分割協議により預貯金を相続する場合)
○遺言書及び検認済証明書(遺言により預貯金を相続する場合)
○相続人全員の印鑑証明書
○相続関係がわかる戸籍謄本一式

株式の相続手続き

相続した株式は名義変更が必要

相続財産の中に株式が含まれる場合には、「株式の名義変更」という相続手続きをおこなう必要があります。

株式の名義変更の方法は、上場株式と非上場株式で違います。また、株券電子化の手続きがおこなわれていない上場株式(タンス株)については、相続手続きの際に電子化の手続きをする必要がでてきます。

上場株式の相続手続き

相続する株式が上場株式の場合には、窓口となっている証券会社を通して名義変更手続きを行います。手続きには、次のような書類が必要になります。

○相続手続依頼書
○遺産分割協議書(遺産分割協議により株式を相続する場合)
○遺言書及び検認済証明書(遺言により株式を相続する場合)
○相続人全員の印鑑証明書
○相続関係がわかる戸籍謄本一式

なお、上場株式は、現在は電子化されており、紙の株券を発行していません。そのため、株式を相続する際には、株式を電子的に管理するための証券口座が必要です。

株式を相続する人が証券口座を持っていない場合には、相続手続きをするために口座開設が必要になります。

非上場株式の相続手続き

非上場株式の名義変更は、証券会社ではなく発行会社で行います。具体的な名義変更の手続きは、株式を発行している会社によって異なります。

まずは直接問い合わせてみることが必要です。

タンス株の相続手続き

タンス株とは、企業の発行株式で株主が保管している紙の株券のことです。2009年に株券電子化により、上場株式は証券会社の口座で電子的に管理されるようになりましたが、個人の自宅などにはまだまだ多くの「タンス株」が眠っていると言われています。

被相続人がタンス株を所有していた場合でも、株主としての権利がなくなっているわけではないので、相続人はこれを相続することができます。

タンス株は、信託銀行(株主名簿管理人)の「特別口座」で管理されています。株式が特別口座に入ったままだと売買ができないため、相続手続きの際には、これを証券会社の一般口座に移します。

相続人は信託銀行に必要書類を提出し、被相続人名義の特別口座から、相続人名義の一般口座に振替依頼を行うことになります。

ただし、株券電子化前に相続が発生している場合には、まず相続人名義で特別口座を開設(失念救済)の手続きをしてから、一般口座に移す必要があります。

自動車の相続手続き

自動車も相続人名義に変更する必要がある

被相続人名義の自動車も遺産として扱われます。相続後には、その自動車を「そのまま使用する」「廃車にする」「売却する」という3つの方法がありますが、いずれにしても名義変更が必要です。

相続した自動車を名義変更しないで乗り続けるケースがありますが、いざ売却や廃車を検討する際に、時間が経ったことで書類集めや手続きに手間がかかります。

相続財産に自動車がある場合には、できるだけ速やかに相続手続きをおこなった方が良いでしょう。

自動車の移転登録申請の方法

自動車の相続手続きは、自動車を相続する人の住所地を管轄する陸運局(運輸支局または自動車検査登録事務所)で移転登録申請をして行います。

手続きに必要な書類は、次のようになっています。

○移転登録申請書
○手数料納付書
○自動車税申告書
○遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書を添付)
○相続関係がわかる戸籍謄本
○自動車検査証
○自動車保管場所証明書(車庫証明書)

生命保険の手続き

生命保険金は受取人固有の財産

被相続人が亡くなったときに生命保険金は相続でどのように取り扱えばいいのかという問題が発生します。

相続人の1人が受取人に指定されているときには、その生命保険金は受取人の「固有の財産」として扱われます。相続財産として扱われないため他の相続人に分配する義務はありません。また、この生命保険金は「固有の財産」であるため、受取人が相続放棄をした人であっても受け取ることができます。ちなみに、この生命保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象にはなるため注意が必要です。

一方で、被相続人自身が受取人に指定されている場合には、その生命保険金は相続財産として扱われます。相続人が複数いるならば、生命保険金の取得についても遺産分割協議が必要となります。

生命保険金の請求方法

亡くなった人を被保険者とする生命保険金がある場合には、保険会社に請求をしないと支払われません。まず受取人は保険会社に被保険者が死亡した旨を連絡します。保険会社から書類が送付されてきますので、必要書類と合わせて返送します。

保険会社によって書類審査にかかる期間は違いますが、書類に不備がなければ大体が1週間ほどで支払いがおこなわれます。具体的な手続き方法は、保険会社で確認しましょう。

生命保険金の請求権は死亡から3年で時効になってしまうので、時効になる前に手続きをする必要があります。

団体信用生命保険の手続き

団体信用生命保険(団信)とは、被相続人が住宅ローン支払い中に亡くなった場合に、残りのローンが完済される保険のことです。そのため、被相続人が団信に加入していれば相続人はローン(残債)を引き継ぐことはありません。

団信は民間の金融機関で住宅ローンを組むときには、強制加入になるため、ほとんどの被相続人が加入しているはずです。

被相続人が亡くなったら、住宅ローンを組んでいる金融機関に連絡し手続きをする必要があります。そして、ローンが完済されたら、不動産に付いている抵当権を抹消する手続きも必要となるため、法務局で相続登記と抵当権抹消登記を申請することになります。

相続手続きの代行は司法書士へ相談

相続手続きはこれまでご説明したように種類が多く手続きの方法が分かりにくいものもあります。

集めるべき書類も多く、期限が設けられているものもありますので、うっかり期限を過ぎてしまうことがないように十分な注意が必要です。

相続手続きに不安を感じたら専門家に手続きの代行依頼を検討しても良いでしょう。「自分で相続手続きはできない」「面倒だ」と思われたら、早めに相談することで適切かつ確実な手続きがおこなわれます。

はやみず事務所は、相続手続きの経験豊富な専門家です。相続手続きの代行を司法書士に任せたいという方は、お気軽にご相談ください。

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速水 陶冶
(はやみず とうや)

東京司法書士会(登録番号 5341号)
※簡易裁判所代理権認定(認定番号 1001015号)

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