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相続の遺留分についての正しい知識

監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

相続の手続きで、「遺留分」が問題になることがあります。

本来の相続人の中には、遺言の内容にかかわらず必ず財産を相続できることを保障されている人がいるからです。相続争いの原因にもなりやすいので、遺留分には注意しておきましょう。

ここでは、遺留分とは何かについてわかりやすく説明しますので、正しい知識を身につけておいてください。

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遺留分とは

遺留分とは、民法上の相続人のうち亡くなった人に近い親族が、最低限もらえる遺産の割合です。なお、相続法改正により、遺留分については、現在は民法1042条以下に定められています。

亡くなった人の家族は、亡くなった人の財産を相続することを期待しているはずです。
もし残された家族が財産を全く相続できない事態になったら、たちまち生活に支障が出ることも考えられるでしょう。こうしたことから、亡くなった人に近い親族には、最低限の取り分として遺留分が認められているのです。

遺留分と遺言

遺留分が問題になるのは、亡くなった人が遺言を残しているケースです。遺言がない場合には法定相続人が法定相続分ずつ遺産を取得するのが原則ですが、遺言があれば法定相続よりも遺言が優先します。
つまり、遺言があれば、相続人は本来もらえるはずの分をもらえなくなってしまう可能性があります。

遺言では、相続分の指定(民法902条)や遺贈(民法964条)ができますが、いずれも「遺留分に関する規定に違反することができない」ことが明記されています。
遺言を用いても全く自由に財産を処分できるわけではなく、遺留分の制約を受けることになります。

遺留分が認められる場合

遺留分があるのは、配偶者、子ども(代襲相続人の孫などを含む)、直系尊属になります。兄弟姉妹(または甥・姪)が相続人になるケースでは、兄弟姉妹には遺留分はありません。なお、遺留分のある人を遺留分権利者と呼びます。

遺留分権利者がもらえる遺留分は、民法1042条において、相続人全員での割合として定められています。直系尊属のみが相続人の場合には全員で3分の1、それ以外の場合には全員で2分の1です。

遺留分の割合のパターン

各相続人の遺留分の割合は、相続人の組み合わせや人数によって変わってきます。具体例を見てみましょう。

配偶者と子どもが相続人の場合

配偶者と子どもが相続人になるケースでは、法定相続分は配偶者が2分の1、子どもは全員で2分の1です。子どもが2人いる場合には、子ども1人あたり4分の1ということになります。

配偶者と子どもがいるケースの遺留分は相続人全員で2分の1なので、2分の1に各相続人の法定相続分をかけたものが、各相続人の遺留分になります。

配偶者の遺留分 1/2×1/2=1/4

子ども2人の場合の子ども1人あたりの遺留分 1/2×1/4=1/8

配偶者と親が相続人の場合

配偶者と親が相続人になるケースでは、配偶者の法定相続分は3分の2、親の法定相続分は3分の1です。両親とも生存している場合には、3分の1を2で割った6分の1が親1人あたりの法定相続分です。

配偶者と親が相続人になるケースの遺留分は全員で2分の1なので、これに法定相続分をかけます。

配偶者の遺留分 1/2×2/3=1/3

母親のみ存命の場合の母親の遺留分 1/2×1/3=1/6

親だけが相続人の場合

親だけが相続人の場合には、親だけですべての財産を相続します。両親存命の場合には、1人あたりの法定相続分は2分の1ということです。

親だけが相続人のケースにおける遺留分は財産の3分の1なので、親が1人存命の場合には3分の1、2人存命の場合には1人あたり6分の1となります。

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遺留分が認められない場合

遺留分権利者であっても、遺留分が認められない人もいます。次のようなケースでは、本来遺留分権利者である人も、遺留分を主張できません。

相続欠格

相続欠格に該当する人には、遺留分は認められません。相続欠格とは、民法に定められている欠格事由に該当したことによって、相続人の資格をはく奪されることです。

たとえば、過去に被相続人(亡くなった人)を殺害しようとした相続人がいる場合、その相続人に財産を相続させるべきではないでしょう。このような場合、相続欠格となるので、相続権はなくなります。相続権がないわけですから、当然遺留分もありません。

相続廃除

相続廃除とは、被相続人自らが生前に家庭裁判所に申し立てたことにより、相続権をはく奪された人です。廃除されている人にも相続権はありませんから、遺留分も当然認められません。

廃除できる相続人は、被相続人を虐待したり重大な侮辱を加えたりした人です。廃除は遺言によってもできますが、この場合には遺言執行者が家庭裁判所での手続きを行って相続権のはく奪を確定させることになります。

相続放棄

相続放棄とは、相続人自らが相続人としての立場を放棄することです。相続人であっても必ず財産を相続しなければならないわけではなく、相続放棄することができます。なお、相続放棄するには、相続開始後3か月以内に家庭裁判所で手続きをしなければなりません。

相続放棄した人は、初めから相続人でなかったものとみなされます。つまり、相続放棄をすれば、遺留分も当然になくなります。

包括受遺者

包括受遺者とは、被相続人に包括遺贈を受けた人です。包括遺贈とは、財産を特定せずに、遺産全体に対する割合を指定して財産を譲る方法になります。

民法990条では、「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」と定められており、相続人と同一の扱いになります。ただし、包括受遺者は元々の相続人ではないので、遺留分は認められません。

遺留分放棄

遺留分権利者である人も、被相続人の生前に家庭裁判所の許可を受けて、あらかじめ遺留分を放棄することができます。遺留分を放棄すれば、当然遺留分を請求することはできません。

遺留分を請求する方法-「遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求)」とは?

遺留分権利者は、何もしなくても自動的に遺留分をもらえるわけではありません。他の人が自分の遺留分までもらってしまっている場合でも、必ず取り戻しをしないといけないわけでもなく、遺留分をもらうかどうかは本人の自由です。

遺留分を取り戻すには、「遺留分を返してほしい」という意思表示をする必要があります。この意思表示は、これまで「遺留分減殺請求」と呼ばれていましたが、民法(相続法)改正により、2019年7月以降は「遺留分侵害額請求」と呼ばれるようになりました。これは、遺留分の返還について、従来は現物返還が原則だったものが、法改正以降金銭による返還が原則となったためです。そのため、2019年6月以前に開始した相続については遺留分減殺請求、2019年7月以降に開始した相続については遺留分侵害額請求を行うことになります。

遺留分減殺請求及び遺留分侵害額請求には決まった方式はありません。どのような形であれ、遺留分を返してほしいという意思表示をすれば、請求をしたことになります。と言っても、口頭で意思表示をしても証拠が残らないので、通常は遺留分を侵害している相手に対して内容証明郵便を送る形で通知します。

遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求)には時効がある

遺留分は遺留分権利者本人が遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求)をしてはじめて、遺留分権利者のもとに戻ります。遺言により遺留分権利者の遺留分までもらってしまった人は、いつ遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求)をされるかと気が気でないでしょう。いつまでも遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求)ができるとなると、財産が誰のものになるのかが決まらず、不安定な状態が続いてしまいます。

こうした不都合が起こらないよう、遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求)ができる期間は、相続開始及び遺留分の侵害を知ったときから1年間に限定されています。もし何も知らなった場合でも、相続開始から10年を経過すると、請求できなくなります。

話し合いができなければ遺留分調停を利用する

遺留分減殺請求や遺留分侵害額請求をした後に遺留分を返してもらうには、遺留分を侵害している相手と話し合いをしなければなりません。話し合いをしても遺留分を返してもらえない場合や、現実に話し合いができない場合には、家庭裁判所の調停を利用することができます。

遺留分の取り戻しに関する調停は、2019年7月以降、「遺留分侵害額の請求調停」として申立てができるようになっています(※2019年7月より前に相続が開始している場合には、現物返還となるので、「遺留分減殺による物件返還調停」となります)。

調停では、調停委員や裁判官が間に入って話し合いの仲裁を行ってくれるので、双方が感情的にならずに冷静に話し合いを進められる可能性が高くなります。

まとめ

遺言を作成される方は、遺留分にくれぐれも注意しておきましょう。相続対策のための遺言が、かえって相続争いを招くことにもなってしまいます。

また、遺留分を侵害された側の相続人は、遺留分減殺請求や遺留分侵害額請求をして取り戻しができるということを知っておく必要があります。

遺留分については法改正によりますますわかりにくくなったため、専門家に相談しながら対処するのがおすすめです。

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