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生命保険って本当に相続税対策になるの?

監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

平成27年から相続税の基礎控除額が引き下げられたため、これまで相続税の心配がなかった人でも、相続税対策を考えなければならない状況になっています。

相続税対策として有効と言われているのが、生命保険を利用する方法です。ここでは、生命保険が税金対策になる理由について説明します。

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相続税がかかる相続財産とは

・相続財産が基礎控除額を上回れば相続税がかかる

相続税は、亡くなった人(被相続人)の財産を引き継いだときに、その財産の額を基準にしてかかる国税です。

相続が発生したら必ず相続税がかかるわけではありません。

相続税には無条件で適用される「基礎控除」がありますので、相続財産の総額が、その基礎控除の金額を超えないのであれば、相続税はかからないことになります。

相続税の基礎控除額は、平成27年以降【3000万円+600万円×法定相続人の数】となっています。

平成26年までは【5000万円+1000万円×法定相続人の数】でしたから、基礎控除の範囲は縮小され、相続税がかかる人が増えたことになります。

生命保険金は受取人固有の財産

相続財産とは、相続発生時、すなわち被相続人が死亡した時点で被相続人が所有していた財産というのが民法上の原則です。

生命保険金の場合、もし被相続人自身が受取人になっていれば、被相続人の財産ということになりますので、相続財産に含まれます。

一方、受取人が被相続人以外である場合には、民法上の相続財産には含まれません。

死亡保険金は保険会社から受取人に支払われた金銭になりますので、受取人固有の財産ということになります。

生命保険金は税法上「みなし相続財産」となる

被相続人が亡くなって相続人等が生命保険金を受け取った場合、生命保険金は民法上の相続財産には含まれないとはいえ、その経済的な効果は相続財産を取得したのと変わりません。

こうしたことから、税法上は生命保険金について、受取人が誰であっても「みなし相続財産」として相続税が課税される扱いになっています。

なお、みなし相続財産には生命保険金以外に、死亡退職金なども含まれます。

生命保険が相続税対策になる理由

生命保険金には非課税枠がある

生命保険の契約者と被保険者が同じの場合には、生命保険金はみなし相続財産となり相続税の課税対象となります。

しかし、相続人が取得した生命保険金については、【500万円×法定相続人の数】という非課税枠があります。

たとえば、被相続人に配偶者と2人の子がいる場合、法定相続人は3人となりますから1500万円までが非課税となります。

つまり、受け取った生命保険金のうち1500万円を超える部分のみが課税対象となるということです。

なお、非課税の取り扱いを受けられるのは相続人が受け取った生命保険金のみで、相続人以外の人が受け取った生命保険金には非課税の適用はありません。

また、相続放棄をした人も生命保険金は受け取れますが、非課税の適用はありません。

生命保険を活用すれば節税が可能

自分が亡くなったときに生命保険金が下りるようにするためには、保険料を支払っておく必要があります。

生きているうちに生命保険料を払っておくことで、相続税の課税対象となる財産を減らすことができますので、節税ができることになります。

さらに、自分が亡くなった後相続人に支払われる生命保険金には非課税枠がありますので、ここでも節税効果があります。

つまり、生命保険を活用することで、相続税の計算の基準となる財産の評価額を大きく下げることが可能となりますので、相続税対策になるということです。

相続税の納税資金準備にも役立つ

相続財産の大部分が不動産で現金があまりない場合などは、相続税が高額になってしまうのに、納税資金が準備できない可能性があります。

相続税には相続開始を知った日から10ヶ月という申告・納付期限もありますので、相続人は納税に困ってしまうことになります。

このような場合にも、生命保険が活用できます。相続人を死亡保険金の受取人にしておけば、相続人は保険金を納税資金に充てることができます。

保険金は書類さえ用意すれば速やかに受け取ることができますから、相続人が納税資金の準備に困ることがなくなります。

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相続税対策に有効な生命保険の種類

相続対策に向いているのは終身保険

生命保険には、定期保険、終身保険、養老保険などの種類があります。

このうち、定期保険と養老保険は死亡保険金が支払われる期間が限定されているため、相続対策には向いていません。

相続対策に向いているのは、貯蓄性のある終身保険になります。終身保険に加入していれば、亡くなったときに必ず保険金が支払われますから、相続対策に役立つことになります。

一時払い終身保険なら入りやすい

一般に、相続税対策として活用されている保険は、一時払い終身保険になります。

一時払い終身保険を利用すれば、まとまった財産を一度に生命保険に移すことが可能ですので、思い立ったときにすぐに相続税対策ができます。

また、生命保険というのは健康状態によっては加入できないこともありますが、一時払い終身保険は健康状態の審査がそれほど厳しくありません。

80~85歳まで加入できるものもありますので、高齢になってから相続税対策を思いついても、利用できるチャンスがあります。

生命保険で納税資金を準備するなら

生命保険を利用して相続税の納税資金を準備する場合には、死亡した時期にかかわらず一定の保障が受けられる保険がおすすめです。

定期付終身保険の場合、定期保険特約の期間中は保障額が大きくなりますが、それ以降は保障額が小さくなってしまうため、必要な納税資金を準備できない可能性があります。

相続対策に生命保険を活用するその他のメリット

遺産分割がスムーズにできることがある

生命保険に入ることにより、税金面以外での相続対策にも役立つことがあります。相続人が複数いる場合、相続財産が不動産に偏っていると分割がしにくく、争いが起こりやすくなります。

保険金という現金を残すことで、遺産分割がスムーズに行われる可能性が高くなります。

たとえば、遺産が自宅不動産のみで相続人が息子2人という場合、自宅を長男が相続するのであれば、次男はそのままでは何も相続できません。

このような場合には、長男から次男へ代償分割として現金を渡す方法がありますが、長男に代償金を支払うだけの現金がなければそれも不可能となってしまいます。

こうした事態に備えて、生命保険金の受取人を長男にしておけば、長男は代償金を用意でき、代償分割が可能になります。

保険料を贈与して節税する方法も

生命保険の相続では、契約者・被保険者とも被相続人の場合には、保険金が相続税の課税対象となります。

しかし、保険料を相続人に贈与し、相続人が契約者かつ受取人、被保険者が被相続人とすれば、相続税の課税対象にはなりませんので、税金を減らす効果が期待できます。

なお、保険料を贈与する場合には、暦年贈与の110万円の非課税枠を超えると贈与税がかかります。

また、死亡保険金の受取時には、受取人には一時所得として所得税・住民税がかかります。

しかし、相続税の軽減効果の方が大きく、トータルの税負担は軽くなることがありますから、検討の余地はあるでしょう。

上記のとおり、相続対策に生命保険は有効な場合が多くなっています。

と言っても、生命保険に入っておけばそれで安心ということはありません。

税金の計算方法は複雑なところがありますから、どういった方法がいちばん良いかはケースバイケースで判断する必要があります。

相続対策を考える場合には、自己判断ではなく、専門家に相談した上で決めるのがおすすめです。

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