不動産の登記の変更にかかる費用の内訳と相場を徹底解説
監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

費用は「税金と報酬」:登記費用は、不動産の評価額に基づく登録免許税が主であり、これに司法書士への報酬(相続で10万〜20万円目安)が加わります。
相続登記は義務:相続による名義変更は3年以内に申請が必須であり、怠ると過料の対象となります。
専門家への依頼が確実:複雑な手続きを自分で行うと時間とミスが多くなるため、司法書士に依頼することが時間と手間を削減する最も確実な方法です。


目次
登記変更が必要になる場面と費用の内訳・相場

不動産の登記変更が必要な主な場面
不動産の所有者が変わった場合、登記上の名義も変更しなければなりません。これを一般に「名義変更」と呼びますが、法律上は「所有権移転登記」といいます。
登記を変更する手続きは、基本的に不動産の所有者が、管轄の法務局に出向いて自分で行う必要があります。
売買 | 不動産を売ったり買ったりしたとき |
---|---|
贈与 | 不動産をプレゼントした/されたとき |
相続 | 不動産の所有者が亡くなったとき |
財産分与 | 離婚に伴い不動産の所有権を移したとき |
不動産の相続登記には期限がある
不動産の所有者が相続によって変わった場合、2024年4月1日から登記の申請が義務化されました。相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。正当な理由なく期限内に登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
売買や贈与など相続以外の原因による名義変更(所有権移転登記)については、期限はありませんが、取引の安全などのため、速やかに手続きを行うべきです。
不動産の登記変更には登録免許税がかかる
以上のとおり、不動産の所有者が変わった際は、速やかに登記名義を変更することが大切ですが、これには費用がかかります。
この不動産の登記変更にかかる費用の主なものが登録免許税です。
登録免許税は、法務局で登記申請を行う際に納付が義務付けられている税金で、登記申請書に税額分の収入印紙を貼って納めます。
登録免許税の税率は登記原因によって変わる
不動産の所有権移転登記における登録免許税の額は、次の計算式で算出されます。
登録免許税 = 課税標準 × 税率
ここでいう課税標準とは、原則として、不動産の固定資産評価額を指します。
そして、この税率は、所有権が移転した理由、つまり登記原因(売買、相続、贈与など)によって異なります。
登記原因 | 税率 |
---|---|
売買 | 1000分の20 |
相続 | 1000分の4 |
贈与・財産分与・遺贈など | 1000分の20 |
なお、土地の売買については、現在も租税特別措置法による軽減税率の特例措置があり、税率が1000分の15(1.5%)となる場合があります。また、建物の売買についても、居住用建物の取得など一定の要件を満たす場合には、税率が1000分の3(0.3%)に軽減される特例があります。
これらの特例には適用期限がありますが、多くの場合、期限が延長されています。最新の正確な税率や適用期限については、必ず国税庁や法務局の情報をご確認ください。


登録免許税以外にかかる費用について

書類取り寄せ等の実費がかかる
不動産の登記手続きを行う前提として、現在の名義人や権利関係を確認するために、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する必要があります。登記簿謄本の取得費用は、1通につき600円になります。
また、登記申請書には、印鑑証明書、住民票、固定資産評価証明書などを添付する必要があります。これらの書類の取り寄せ費用は、1通300円程度になります。
その他にも、登記の内容によって、必要な添付書類を揃えなければなりません。たとえば、相続を原因とする所有権移転登記の場合には、相続関係がわかる戸籍謄本一式が必要になります。戸籍謄本は1通450円、除籍・原戸籍謄本は1通750円の取得手数料がかかります。郵送で取り寄せる場合には、さらに切手代が必要になるほか、小為替の手数料も余分に発生します。
司法書士に依頼する場合には報酬がかかる
不動産の登記手続きは司法書士に依頼できます。司法書士に依頼した場合、その報酬が必要になります。
報酬の具体的な相場は、手続きの種類や不動産の評価額、関与する相続人の人数などによって変動します。
一般的に、シンプルな不動産の名義変更(売買や贈与など)であれば5万円〜10万円程度、一般的な相続登記であれば10万円〜20万円程度が目安となることが多いです。具体的な費用は、事前に見積もりを取得することをおすすめします。
登録免許税以外の税金がかかることもある
不動産の所有者が変わったときには、贈与税、不動産取得税、譲渡所得税など、登録免許税以外の税金が課税されることがあります。相続のケースでは、相続財産の額によって、相続税がかかることもあります。
これらの税金にも注意しておいた方がよいでしょう。
書類の収集も必要なら司法書士に依頼しよう!

不動産の登記変更を自分で行うデメリット
自分で登記申請を行う際には、いくつかの課題があります。
申請の不備によるリスク
登記申請時には、登記申請書を正確に記載し、添付書類に漏れがないように揃えて法務局に提出する必要があります。もし、申請書に記載ミスがあったり、必要な添付書類が不足していたりすると、法務局で申請を受け付けてもらえません。
特に複雑なケースでは、どの書類が必要なのか判断が難しく、スムーズに登記申請が進まないことがあります。
時間と労力の負担
また、法務局は登記相談を受け付けているものの、窓口は平日昼間しか開いていません。そのため、手続きのために仕事を休む必要が生じることもあります。
慣れない方が自分で登記申請を試みると、以下のようなデメリットから、かなりの時間や労力がかかってしまうのが実情です。
- 書類の収集・作成に時間がかかる。
- 法務局への問い合わせや出向に手間がかかる。
- 手続きの途中で不備が見つかり、やり直しになる。
司法書士に依頼するメリット
不動産の登記変更は、司法書士に依頼することができます。司法書士は登記申請の代理人となれるため、以下のすべての手続きを一任できます。
- 登記に必要な書類の収集
- 登記申請書の作成
- 法務局への提出
手続きに慣れた専門家である司法書士に依頼することで、必要な書類をスムーズに揃えることができ、スピーディーに手続きが完了します。
特に複雑なケースでは専門家への依頼が必須
不動産の登記変更は、様々な事情で複雑化するケースがあります。特に相続の場面で手続きが難しくなることがしばしばあります。例えば、「不動産を相続したものの、先代の相続登記がまだ完了していない」といったケースです。
このような場合、現在の相続だけでなく、先代の相続についても以下の対応が必要となり、手続きが非常に煩雑になります。
- それぞれの相続について相続人を確定する。
- 相続人全員で遺産分割協議を行う。
- 相続人の中に既に亡くなっている人がいる場合は、その人の相続人まで関係してくる。
このように複雑なケースの登記変更こそ、できるだけ早い段階で司法書士に相談することが安心で確実な解決に繋がります。
費用対効果と早期相談の重要性
不動産の登記変更には登録免許税などの費用がかかります。司法書士に依頼すると報酬が発生しますが、その分、手続きにかかる手間や時間を大幅に削減できます。
特に複雑な案件を自分で対応しようとすると、時間ばかりがかかり、全く進まないという状況になりかねません。
不動産の登記変更でお困りの際は、お早めに司法書士にご相談ください。


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