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相続における住宅ローンの団体信用生命保険の役割と登記手続きについて

監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

住宅ローン返済中の不動産を相続することになった場合には、手続きの際に注意が必要です。被相続人が団体信用生命保険に加入していたかどうかで、相続の仕方が変わってくるからです。
ここでは、団体信用生命保険に加入していた場合の不動産の相続手続きについて、注意点を説明します。

団体信用生命保険とはどのような保険?

住宅ローン

住宅ローン返済中の万一に備える保険

住宅ローンを組んで住宅を購入した場合、何十年という長期間返済を続けなければなりません。住宅ローンの返済中には何があるかわかりませんから、最後まで滞りなく返済が続けられるかどうか誰もが不安になるはずです。「団体信用生命保険」(団信)とは、住宅ローン返済中に万一のことが起こった場合に備えるための保険です。団信は住宅ローンに付随するものなので、自分で保険会社に申し込むのではなく、住宅ローンを組んだ金融機関を通じて加入します。

団体信用生命保険の種類

団信では、被保険者が死亡または重度の障害を負った場合(高度障害の場合)に保険金が給付されるものが一般的でした。最近は、3大疾病(ガン、脳卒中、急性心筋梗塞)のいずれかに診断された場合に保険金がおりるタイプのものなど、適用範囲を広げたものも増えています。

団体信用生命保険のしくみ

団信では、被保険者が債務者、保険金受取人が金融機関となっています。保険料は債務者が負担することになり、住宅ローンの金利に保険料分も上乗せされている場合が多くなっています。債務者に死亡等の事由が生じたときには、住宅ローン残高と同額の保険金が金融機関に支払われ、住宅ローンが完済されることになります。

団体信用生命保険の加入義務

団信に加入していれば、住宅ローン返済中に亡くなっても、ローンを残さずにすむというメリットがあります。民間の銀行等の住宅ローンを利用する場合には団信への加入が条件となっている場合が多く、病気等で団信に入れない場合にはローンを利用できないこともあります。
なお、住宅ローンの中には、民間の金融機関が住宅金融支援機構と提携して提供する「フラット35」など、団信への加入が必須でないものもあります。団信に加入せず住宅ローンを組んだ場合、死亡後も返済中の住宅ローンはそのまま残ることになります。

住宅ローン債務者が亡くなった場合どうなる?

説明

被相続人が住宅ローンを残して亡くなった場合、団信に入っていたかどうかで扱いが変わります。

団体信用生命保険に加入していたかどうかわからないなら?

被相続人が団信に入っていたかどうかわからない場合には、被相続人が住宅ローンを借入していた金融機関に問い合わせる必要があります。住宅ローン返済中の不動産には金融機関の抵当権が設定されているはずですから、登記事項証明書を取得して金融機関を確認しましょう。

団体信用生命保険に加入していた場合

被相続人が団信に加入していれば、住宅ローンは保険金で完済されます。ただし、何もしなくても自動的に保険金がおりるわけではありません。金融機関から必要書類を受け取って、債務弁済(保険金請求)の手続きをする必要があります。
保険会社で書類を確認後、問題がなければ保険金が金融機関に支払われ、残りの住宅ローンが一括返済されます。住宅ローンが完済されると、相続人は住宅のみを相続することができます。

団体信用生命保険に加入していない場合

被相続人が団信に加入していなかった場合、住宅ローンはそのまま残り、基本的には住宅を相続する人が住宅ローン債務を引き継ぐことになります。もし複数の人で住宅を相続する場合には、住宅ローン債務者として1人を定めなければなりません。住宅を相続する人が決まったら金融機関に連絡し、金融機関の指示に従ってローンの承継や抵当権の変更の手続きを行います。
住宅ローンを払えない場合や払いたくない場合には、相続放棄をすることもできます。ただし、相続放棄をすれば、住宅やその他の財産を相続することもできなくなりますから注意しておきましょう。相続放棄をする場合には、相続開始を知ったときから3か月以内に、家庭裁判所での手続きが必要です。
なお、住宅が売却できる場合には、住宅を売却して住宅ローンを返済する方法もあります。

団体信用生命保険に加入していた場合の抵当権抹消の手続き

不動産登記の手続き

住宅ローンが完済されると金融機関の抵当権は消滅

住宅ローンを組むときには、借入金の担保として、住宅に金融機関(または保証会社)の抵当権が設定されます。そのため、住宅購入時には、所有権移転(または保存)登記と同時に抵当権設定登記も行っているはずです。
住宅ローンを完済されると、担保は必要なくなりますから、抵当権は消滅します。ただし、登記上抵当権を抹消するには、手続きが必要です。

相続人は抵当権抹消の登記をしなければならない

団信により住宅ローンが完済された時点で抵当権は実質的に消滅しているため、抵当権の登記が残っていても効力はありません。しかし、登記上も抵当権を抹消しないと、不動産を売却するときなどに支障が出てしまいます。
登記上、抵当権を消すためには、抵当権抹消登記を行う必要があります。抵当権抹消登記は、金融機関が主導で行ってくれるわけではありません。相続人からの申し出があれば金融機関から相続人宛に必要書類が届きますので、それを使って相続人の方で抵当権抹消登記の手続きをすることになります。

抵当権抹消登記と相続登記の順番

相続人は被相続人名義の不動産を相続することになるため、不動産の名義変更(相続登記)もしなければなりません。登記手続きは、権利変動が起こった順番どおりにするというルールになっています。権利変動の順番は、次のとおりです。

  • 不動産の所有者(住宅ローン債務者)が亡くなり、相続が発生
  • 保険会社から保険金が支払われ、住宅ローンを完済して抵当権が消滅

つまり、先に相続登記を行ってから、抵当権抹消登記を行う必要があります。相続登記を行う前に抵当権抹消登記を行うことはできません。なお、相続登記と抵当権抹消登記を同時に行うことは可能です。

相続登記の必要書類

戸籍 住民票 印鑑証明書

相続人が1人の場合には、次のような書類が必要です。

【相続人が1人の場合の相続登記の必要書類】

  • 相続関係がわかる戸籍謄本一式
  • 被相続人の除票または戸籍附票
  • 相続人の住民票または戸籍附票
  • 不動産の固定資産評価証明書(または課税明細写し)

相続人が複数の場合、遺産分割協議を行って不動産を相続する人を決め、相続登記を行います。この場合の必要書類は、次のとおりです。

【遺産分割協議による相続登記の必要書類】

  • 相続関係がわかる戸籍謄本一式
  • 被相続人の除票または戸籍附票
  • 不動産を相続する人の住民票または戸籍附票
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 不動産の固定資産評価証明書(または課税明細写し)

遺産分割協議がととのわない場合でも、法定相続による登記はできます。法定相続による登記の必要書類は、次のとおりです。

【法定相続による相続登記の必要書類】

  • 相続関係がわかる戸籍謄本一式
  • 被相続人の除票または戸籍附票
  • 相続人全員の住民票または戸籍附票
  • 不動産の固定資産評価証明書(または課税明細写し)

抵当権抹消登記の必要書類

抵当権抹消登記の際には、次のような書類が必要になります。これらの書類は、金融機関から受け取ります。

【抵当権抹消登記の必要書類】

  • 金融機関が作成した解除証書など
  • 登記識別情報・登記済証
  • 金融機関の委任状
  • 金融機関の登記事項証明書(発行から3か月以内のもの)

相続登記・抵当権抹消登記の期限

相続登記には期限はありませんが、相続登記をしなければ抵当権抹消登記ができず、不動産を売却等することができません。不動産を売却する予定がない場合でも、相続登記をしないまま放置していると、次の相続が発生して余計な手続きが増えてしまいます。
抵当権抹消登記についても、時間が経つと金融機関から届いた書類を紛失してしまう可能性があります。もし放置している間に金融機関の合併や名称変更があった場合には、受け取った書類だけでは手続きできなくなってしまいます。
団信により住宅ローンが完済されたら、速やかに相続登記や抵当権抹消登記を終わらせてしまうのが安心です。

相続登記・抵当権抹消登記は司法書士に依頼

被相続人が団信に加入していた場合、相続登記と合わせて抵当権抹消登記も行わなければなりません。金融機関から書類が届いても、手続きの仕方がよくわからないことも多いと思います。相続登記・抵当権抹消登記手続きは、専門家である司法書士にまとめて依頼してしまうのがおすすめです。
登記手続きを司法書士に依頼すれば、相続登記に必要な戸籍謄本の収集から対応してもらえます。司法書士は法律知識のある登記のプロですから、煩雑なケースも任せられます。登記をしないまま時間が経過してしまった場合にも、司法書士に相談しましょう。

相続登記・抵当権抹消登記にかかる費用

相続登記をするときには不動産の固定資産評価額の0.4%の登録免許税がかかります。抵当権抹消登記については、不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります。
登記手続きを司法書士に依頼する場合には、別途司法書士の報酬がかかります。司法書士の報酬は不動産の数や金額、依頼する手続きの範囲によって変わってきますが、一般には10~20万円程度になることが多くなっています。

相続登記の登録免許税固定資産評価額の0.4%
抵当権抹消登記の登録免許税不動産1個につき1,000円
司法書士の報酬10~20万円程度(案件による)

まとめ

被相続人が団体信用生命保険に入っていた場合には、住宅ローンが完済されるため、相続人は不動産のみを相続することができます。不動産の相続手続きでは相続登記と抵当権抹消登記が必要になりますので、後回しにしないように早めに手続きをしましょう。


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