カテゴリー: 基礎知識

不動産の相続手続

監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

不動産の相続手続きについて、以下の「ケース」を前提として考えてみましょう。
Aは不動産(土地建物)を所有し死亡した。Aの相続財産は当該不動産のみであった。Aの相続人はX、Y、Zの3人である。

相続人が数人いる場合、相続財産は共有となります(民法898条)。ここでいう「共有」とは、民法249条以下の「共有」(物権)とその性質を同じとするものです(最判昭和30年5月31日参照)。そして、遺産分割協議(民法907条1項)を経て、各相続人に相続財産が分配されることになるまで、共有状態が続くことになります。
それでは、遺産分割終了まで共有状態が続くことによる、各共有者間で生じ得る問題点について考えてみましょう。上記「ケース」で、未だ相続登記がなされていないので、Xが単独で共同相続登記をすることができるのでしょうか。この点について、登記実務では相続人の1人が保存行為(民法252条但書)として共同相続登記をすることができるとされています。したがって、上記「ケース」で、Xは、X、Y、Zがそれぞれ3分の1ずつ相続したことを示して申請することが出来ます。もっとも、Xが自己の持分(3分の1)のみ相続登記することは出来ないとされているので注意が必要です。
上記「ケース」で、Xによる相続登記が完了すれば、Xは、自己の持分を第三者に売却することが出来ます。このとき、当該不動産は相続人Y、Zと第三者との共有になります。そして、第三者が譲渡された持分に基づいて分割請求をする場合、共有物分割請求(民法256~258条参照)によることになります(最判昭和50年11月7日参照)。
次に、上記「ケース」で、Xが勝手に当該不動産を自己の単独名義で相続登記をした上で第三者に売却して登記を移転した場合、相続人であるYとZは、自己の持分を登記なくして第三者に主張出来るのでしょうか。この点、判例は自己の持分について登記なくして第三者に対抗出来るとしています(最判昭和38年2月22日)。登記に公信力がない以上、Xが売却した当該不動産のうち、YとZの持分については無権利の売買(Xの持分は本来3分の1に過ぎず、残りの3分の2の持分については無権利の売買)であることを理由としています。
このように、遺産共有状態で生じ得る問題をいくつか見てきました。最初の共同相続登記は、遺産分割前にするので、仮に遺産分割で相続人の1人の単独所有とした場合、更に登記手続をすることになり面倒なため、あまり利用することは少ないかもしれません。ただ、事後に紛争が生じるのを防ぐことを考えると、共同相続登記をすることも一理あるかもしれません。


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