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カテゴリー: 相続Q&A

【司法書士が警告】実家の相続で「絶対にやってはいけない」3つの失敗とは?

監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。自身の経験から、相続や借金に関する問題の困難さとその解決の重要性を深く理解しており、依頼者の不安に寄り添った丁寧なサポートを信条としている。

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。自身の経験から、相続や借金に関する問題の困難さとその解決の重要性を深く理解しており、依頼者の不安に寄り添った丁寧なサポートを信条としている。

「実家の相続なんて、とりあえず親の名義にするか、兄弟で平等に分ければいいだろう」 そう安易に考えていませんか?

実は、その「良かれと思って選んだ選択」が、数年後に家族をバラバラにしたり、多額のコストを発生させたりする原因になることが非常に多いのです。

本記事では、相続実務の専門家である司法書士の視点から、実家の相続で後悔しないために「絶対に避けるべき3つの行動」を、実例を交えて詳しく解説します。
5分でわかる!実家相続の注意点を動画で解説

この記事の内容をギュッとまとめた解説動画を作成しました。3つの失敗についてポイントを絞ってお話ししています。

「共有名義」はトラブルの時限爆弾:兄弟で平等に分けたつもりが、将来「売れない・貸せない・直せない」地獄を招きます。

「親名義」への集中は、資産凍結の入り口:親が認知症になった瞬間、実家は「売却不能」に。介護費用さえ捻出できなくなる恐れがあります。

「お金に触る」前に、借金の確認を:良かれと思って親の口座からお金を下ろすと、後から多額の借金が発覚しても「相続放棄」ができなくなります。

「放置」は10万円の罰金+解決費用の高騰へ:2024年4月から名義変更は義務化。放置して相続人が増えると、手続き費用は雪だるま式に膨れ上がります。

不動産の「安易な名義変更」はトラブルの入り口

相続が発生した際、最もやってしまいがちなのが「とりあえず」で名義を決めてしまうことです。
特に以下の2パターンは、将来的に高い確率で後悔を招きます。

① 兄弟姉妹での「共有名義」

「実家を売るか住むか決まらないから、とりあえず兄弟3人で等分に……」という共有名義は、実務家としては最も避けていただきたい選択です。

なぜなら、共有名義にした瞬間に、その不動産は「全員のハンコがないと何もできない、不自由な資産」に変わってしまうからです。

理由1:「全員一致」という高いハードル

不動産を売却したり、家を壊して更地にしたり、あるいは大規模なリフォームをして活用しようとする際、法的には共有者「全員」の同意が必要です。

今は仲が良くても、数年後に一人が「やっぱり売りたくない」と言い出したり、資金繰りに困って「自分の持分だけ勝手に担保に入れたい」と主張したりすれば、その時点で不動産は完全にロックされ、身動きが取れなくなります。

理由2:数十年後の「面識のない権利者」

共有状態のまま時間が過ぎ、共有者の誰かが亡くなると、その権利はさらにその配偶者や子供たちへ引き継がれます。放置すれば、実家の持ち主が「会ったこともない従兄弟たち10人」に膨れ上がることも珍しくありません。

一人でも行方不明者がいたり、ハンコ代として法外な金銭を要求する人が現れたりすれば、その実家はもう誰の手にも負えない「負動産」と化してしまうのです。

② 残された親(配偶者)への「全名義集中」

「お父さんが亡くなった後も、お母さんがそのまま実家に住み続けるんだから、名義もお母さんにしておくのが一番自然だし、波風立たないだろう」。

そうした家族の思いやりから選ばれるこの形ですが、実は「将来のトラブルを二重に積み上げている」可能性があり、非常に慎重な判断が必要です。

理由1:資産凍結のリスク

名義人となった親が将来「認知症」などで判断能力を失うと、実家の売却や大規模修繕が一切できなくなります。介護費用を捻出するために家を売りたくても、裁判所を通した「成年後見制度」の利用が必須となり、手間もコストも大幅に増えてしまいます。

二次相続の二重負担

名義人になった親が亡くなった際(二次相続)に、再度子供たちへの名義変更が必要になります。登記費用や司法書士報酬が2回分かかることになり、結果としてご家族の負担(二度手間)を増やしてしまうのです。

相続するか放棄するか「確定前」の財産処分は致命的

相続人であれば、故人の財産を使えるのは当然だと思うかもしれません。
しかし、「相続するか、放棄するか」が確定していない段階での行動には、取り返しのつかない法的リスクがあります。

「単純承認」とは何か?

相続には、プラスの財産もマイナスの財産(借金)もすべて引き継ぐ「単純承認」という状態があります。本来、これは相続人が自由に選べるものですが、特定の行動をとってしまうと、「あなたは相続することを選びましたね」と法律上みなされてしまうのです。

これを「法定単純承認」と呼び、一度この状態になると、後から「やっぱり相続放棄したい」と思っても、一切認められなくなります。

「単純承認」とみなされる実務上のNG例

故人の財産を「自分のために使った」あるいは「勝手に処分した」とみなされる行為は、全て単純承認と判断される対象となります。

具体的には、「入院費の精算だから」と故人の銀行口座からまとまったお金を引き出して残りを自分の財布に入れてしまう行為や、故人の自動車を勝手に売却・廃車手続きをしたり、故人宛の還付金や未払いの給与などを自分の口座に振り込ませて受領したりする行為などが挙げられます。

相続放棄ができなくなる恐怖

相続が発生してから借金の有無を調べるには時間がかかります。もし後から「実は数千万円の借金があった」と判明しても、すでに財産の一部を処分して「単純承認」とみなされていれば、その借金を一生背負うことになります。

借金の有無に確信が持てるまで、葬儀費用など「社会通念上、認められる最低限の支出」を除き、故人の財産には絶対に手を付けないのが鉄則です。

相続登記(名義変更)の放置は「負の連鎖」を生む

2024年4月1日から、不動産の相続登記が法律で義務化されました。
この義務化に伴う過料(罰金)もさることながら、司法書士が本当に恐れているのは「時間の経過による権利関係の複雑化」です。

期限超過による「過料(罰金)」のリスク

相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請をしないと、10万円以下の過料(罰金)が科される可能性があります。「過料」は行政罰であり、前科にはなりませんが、国に支払う制裁金であり、大きな不利益です。

さらに、法務局は登記の未了を把握する仕組みを強化しており、「黙っていればバレない」という時代は終わりました。

本当の怖さは「権利関係の複雑化」にある

罰金も深刻ですが、司法書士が実務で最も恐れているのは「時間の経過とともに解決コストが跳ね上がっていくこと」です。

実例:30年放置した結果

父が亡くなった時に3人だった相続人が、放置している間にその子供や孫へ権利が移り、15人にまで増えてしまったケースがあります。こうなると、まず全員の戸籍謄本を集めるだけで数万円の経費がかかり、司法書士への報酬も嵩みます。

「印鑑代」の要求と法的トラブル

相続人が増えると、会ったこともない遠方の親族と交渉しなければなりません。中には「ハンコを押す代わりに〇〇万円払え」と理不尽な要求をしてくる人や、全く連絡が取れない人が現れることも珍しくありません。

解決不可能な事態へ

一人の行方不明者や反対者がいるだけで、裁判所を通した「不在者財産管理人の選任」や「遺産分割調停」といった、数年がかりの複雑な手続きが必要になります。その間の弁護士費用や予納金は、本来払わなくて済んだはずの大きな損失です。

まとめ:将来の負担を最小限にする「出口戦略」を

実家の相続には「全員に共通する正解」はありません。しかし、将来のリスクを回避する手法はあります。

実家を継ぐ人が他の兄弟に現金を払う「代償分割」、売却して現金を公平に分ける「換価分割」など、ご家庭の状況に合わせた柔軟な解決策をご提案するのが私たちの仕事です。

一番の失敗は、「よく分からないから」と手続きを後回しにしてしまうことに他なりません。当事務所では、あなたの家族にとって「数年後、数十年後に後悔しない選択」を一緒に考えます。まずは初回無料相談で、現状を整理することから始めてみませんか。


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代表プロフィール

速水 陶冶
(はやみず とうや)

東京司法書士会(登録番号 5341号)
※簡易裁判所代理権認定(認定番号 1001015号)

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